こんにちはオンライン

Eno.30   - こんにちはオンライン

Eno:30

 

 

「…」

さよならだけが人生だ。
別れってのは突然来るもの。

だから私はいつもなんて言ってた?

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小学生の高学年の時だったかな。浜辺で男子3人に囲まれた女の子が困ってた。
どっちも知らない顔だったけど、
とりあえずいじめてるなと思ったのでその男子共は蹴散らした。
浦島太郎ばりの光景だ。それから女の子が何故困ってたのかは口を開いてわかった。

言葉が通じなかった。

きっと親に連れられて日本に来たんだろう。
言葉が通じないけれど、積極的にコミュニケーションをとって見た。
手をつないでどこかへ連れ添ったり、お菓子を一緒に食べたり、海で遊んだり…
そういえば、一つだけ通じた言葉があったな…別れ際にそれだけはいつも言ってた。

夏休みだったからそんな日々が続いたけど、ある時それは突然終わりを告げた。
今にして思えばそれは当然の事で、親に連れられて海外に帰ったんだろう。

それが私の最初の別れ。さようならも言えなかった。

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中学生の頃、私は学校が楽しくてしょうがなかった。
それは何故かって言うと、家に帰れば両親がいつも喧嘩してたからだ。

子供だったからその内容まではわからなかった。
ただいっつも怒鳴り声が響き渡るからそれが喧嘩だってわかるくらい。

だから家に居たくなかった。

学校ではそんな事もなかったからただそれだけで楽しくて、
勉強もできたし友達も沢山居た。でもそんな日常もある日終わりを迎えた。

両親が離婚する事になったから。母に連れられてどこか遠くへと…
それは半ば夜逃げみたいな形だったから私にとってのすべてを置いていく事になった。

それに、さようならも言えなかった。

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高校生の頃は私が一番荒れてた時期だった。
不満があればそれをすぐに口に出したし、気に入らない奴を見つけたらぶん殴ってた。
取っ組み合いの喧嘩になる事もあって傷も絶えなかったし、停学にもなった事がある。

こうなったのも中学の時に何も言わずのままだったから
何かを言わなければ何も変えられないと思ったから…

ある日、生傷を作ったままの顔で居たら一人の女子に話しかけられた。
別のクラスで、髪は染めてるような女でその時抱いた印象はと言うとガラが悪いなと…
そんな感想が出てくるのもこの頃の私はまだ髪を染めたりしてなかったからだ。

それをそのまま言ったら"お前には負けるぞ"と言いながら顔に何かを貼っ付けられた。
絆創膏だった。ぺたぺたぺたぺた何個も貼り付けられた。
なんとなく頭に来たので組み合ったらいきなりからかうような笑い声を浴びせられて…
それでなんか気勢が削がれた。
捨て台詞を吐いてどっかに行ったが、それからも何度か同じ事があった。

絆創膏を貼られるのにも慣れてくるとこいつも友達居ないんかなとか思い始めた。
正直傷の舐め合いなんてまっぴら御免だったが、お互いそんな話をする事はなかった。
だからだろうか、次第に打ち解けたし遊びに行くようにもなった。

言葉にはしなかったけれど、これが友達なんかなって
昔は当たり前のように存在していたものをはっきりと認識した。

そういえば、私が髪を染めたのもこいつが居たからだった。
ある日痴漢にあった。当然ながら犯人はボコったがその話をすると
「髪を染めればそんな事もなくなる」んだと…
なのでヘアカラーを買って染めて貰った。
終わった時には私の髪はピンクになっていた。ついでに笑い声もセット。
この頃は髪染めるなんて思ってなかったから当然恥ずかしくなったし
笑ってくるこいつを若干ボコったりした。
…でも、その時の私自身もちょっと笑ってたな。だから楽しかったんだろうな。

こんな日々が永遠に続けばいいのにって思った。…思ってたのにそれも突然終わった。

事故だった。事故であいつは死んだ。そんな事を全校集会で告げられた。
そんな事信じられなくて、壇上にあった遺影は直視できなかった。
その場に居る全員が黙祷を捧げてる間に私はその場から去った。

言葉にできないくらい滅茶苦茶になった。そして漠然と理解した事がある。
当たり前にあったものは突然に無くなってしまう。それが当たり前なんだって
何かを言ったって何も変えられない事があるんだって

そしてまたさようならも言えないまま終わってしまったって事を…

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さよならだけが人生だったけど、
さよならも言えない人生だった。

だから私はいつもなんて言っていた?

「さよならだ」

所持KP:10KP
使ったKP:45KP

説明:

  • さようならのひと

    種類:インプレッション

    送った人:Eno.103 なぞのまじゅう

    説明:
    それはふかふかの負荷じゃなくて
    あつあつの圧

  • 究極のサヨナラガールさん

    種類:インプレッション

    送った人:Eno.28 ルナール

    説明:
    ムードメーカー的な存在で、場の空気を作るのが上手よね。

    こんにちはをする場所で敢えてさよならを突き通すスタイル。
    それに勢いある行動とキレのいい暴力、少し尊敬してるわ。

    色々されたし照れ臭いけど、私にとっては大事な友達なの。
    いつか別の手段でリベンジしてやるからね