Eno.97からのお手紙

一昨年の11月の終わり。
仲のいい同期と二人、社長室に呼び出されていた。
二人揃ってメジャー団体への格上げが言い渡され、喜びあってたのも束の間……

『空いている枠はヒールだ。昇格と抱き合わせという事になる。』

そんなこと気にしないとばかりに二人とも首を縦に振る。

『フジワラ、君のデザインはこれだ。』

先に相方の資料が渡される。一緒に読む。
思ったよりイロモノ系で自分は笑う。相方は苦笑する。

にしてもニホンにはフジワラノテイカーなんて言うシリアルキラーがいたんだな。
なんでも100人の首を狩って、それぞれの犠牲者にちなんだショートポエムを詠んだのだとか。歴史があると色々いたもんだ。



『そしてクリス………これが君の資料だ。』

それがもう一人の自分、"エル・エスピナ"との出会いだった。

ケーッヒャッヒャッヒャと奇声を上げて、肩につけてるトゲ付き肩パッドを用いたタックルやスピアーで戦う、怪奇系レスラー………」



ちょっと顔が青ざめる。相方がお返しと言わんばかりに声をあげて笑う。

社長の方を見る。
……なんでそんなに自信ありげな顔してるんだ。

「ご満悦の所悪いんですけど、さすがにやる事もうちょっとマイルドにしませんか。



"エル・エスピナ"のキャラクターの模索は、ここから始まった。