Eno.29からのお手紙

はりこ さま


この前の手紙は、先に書いたものだったから、もう一度書いてもいいかしら。
あけましておめでとうございます。
私も、単なる形式のひとつだと思っていました。でも今は、心があるから大切に思えます。

これらも、料理と似ているのかもしれませんね。
私にこの言葉を教えた召使いは、ずいぶんおばあさんでした。
人間たちにも、きっと年月がそういったことを教えてくれるのでしょう。

そうして、あなたがそれを行ってくれたことを私は嬉しく思います。
ええ、私の棲むお屋敷には広い中庭があって、ティーセットを置くテーブルもあります。
休憩の時間にあなたの作ったハンバーガーを食べるのは、至福の時間になれるかも。
考えただけでお腹が空いてしまいました。今はホットココアを飲みながらこのお手紙を書いています。
本当に食べたわけではありませんが、心を持って作ってくれただけでここまで暖かくなれるものなんですね。

ありがとうございます。
きっと、このきっかけをくださった新しい年もこれから良く過ごしていけるでしょう。

……そういえば、あたたかい色の毛皮のあなたは、どんな形をしているのでしょうか。
虎だというから、てっきりそのままの形を想像していたのだけれど。
私のように、『人っぽい』姿をしているのかしら?
もしかしたら、見かけたこともあるのでしょうか。


姿を考える妖精 より