Eno.14からのお手紙
「♪会えないときも 胸を弾ませていたいから
きみの夢の中で笑いたい」
夢見がちで、幸せに浮かれた歌詞。
過去の自分では考えられないほどに。
「♪手放したくないと気付いてしまった
でも 同じ扉は開かない」
……そんなの、嫌だ。オレは……
オレはオリネさんが好きだ。
今なら、はっきりとそう言える。
初めは、気の合う良い友達だと思っていた。
偶然降り立ったライブステージで出会って、
偶然仲良くなって。
たくさん話して内面を知るうちに、
芯を持つ魅力的な人間であることに気付いた。
孤独や批判を恐れず、やりたいことに向き合える、強い心。
己の持つ能力を冷静に分析して、仕事に活かせる聡明さ。
尖った感性。溢れる自信。
オレは人を好きになるのが怖かった。
いつもファンの目ばかり気にして、
綺麗な偶像を守り抜くのに必死だった。
恋愛はしない。
誰か一人を特別に扱ったりしない。
みんなに平等に、いつも明るい笑顔で。
そうすれば正しくいられるから。
「こんな歌が最後なんていやだよ。
オレ、歌いたくないっ……」
初めて、人前であんな風に弱音を吐いた。
オリネさんの隣で、笑ったり泣いたりしながら日々を過ごすうちに、
複雑に絡まり凍てついた心はだんだんと溶けていったのだ。
そして何より、好きになった人の前で、
自分の心に嘘は付きたくなかった。
行動力があって引っ張ってくれるところも、
オレが変なことをしたとき、呆れながら付き合ってくれるところも、
ちょっと面倒くさがりなところも、鋭い棘のある部分も、
人を揶揄うときの悪戯な笑みも、たまに見せる困った顔も、
全部含めて大好きだ。
そういった親愛の積み重ねが、
いつしか友達以上の深いものに変わっていったのだと思う。
同じベッドの上で、身を寄せて眠る彼女の横顔は美しかった。
オレはオリネさんが好きだ。
他の誰にも渡したくない。傍にいたい。
その資格を得られるのなら、
どれだけファンに刃物を突き付けられたっていい。