Eno.106からのお手紙
─記憶の思い起こし。
「お前は目を離すとすぐにどこかに行ってしまうな」
「そういうふうにできている生き物なのだろうが」
「すぐにどこかに消えて、胡乱にまぎれ、そこにいる「誰か」になってしまう」
「もしくは、頓知気騒ぎの核となり、ああ、けれども、あの馬鹿騒ぎをやっていたのは誰だったか、なんて、疑問に」
「どこかに行ってしまう」
「願い、祈り、思い出、それら諸々がかなり薄く、ふわついている」
「胡乱の生き物としては、いいのだろうが」
「ただの日常を生きる生き物としての核が薄い」
「この星はピザクリータの星」
「……人手が足りなくてな。手当した分働いてもらうぞ」
「お前に登録された二輪車、空飛ぶ船が使えれば、それを届けるのに更に遠くまで駆けていけるだろう」
「それから」
「お前とピザを関連づける。杭を打つことでイメージをつける」
「お前がお前である曖昧さを失わないように」
「お前は今日からピザ屋の一員だ」
「…だから、今度名前も与えよう。先にピザ屋としての衣服も与えよう」
「名前は祝い」
「どこかに解けないように」
「祝福の名を」