Eno.5からのお手紙

親愛ではないぬいぐるみへ

まず初めに。
出立前に手紙を贈るので、
返事を受け取れないことを承知してもらおう。

結論から言えば、我々は共にゆく。
世界が違う、なんて話はお前も聞いていたと記憶している。

……丹越はこうも言ったな。
『お土産があれば、きちんと掴んでおけ』と。

ユキは、物品になれる。
まあ、世界も違えば種族も違うのだな。

だから、自らをお土産と定義することで、
理を逃れようという試みだ。
今にして思えば、そもそもぬいぐるみになれば、
助かった話なのかもな。

結果的に、お前の呪いが縁を繋いだ可能性も否定できない。
ぬいぐるみから始まり、やがては生身で添い寝までしたのだから。

ひとまず、真っ当な恋人同士として、暮らしていくつもりだ。
お前にも何か縁があればいいな。
お前が望むのなら。

オリネ