Eno.32からのお手紙


はりこです。

お手紙ありがとうございます。
妖精さんからのお手紙が読めるのも、もう、たぶん、最後なのですね。

妖精さんとお手紙を交わすの、ぼく、ほんとうにほんとうに楽しかったんです。
さいしょは、誰かに届けばいいなって思っていた手紙が、妖精さんのところに届いて、妖精さんは、それにお返事をしてくれて……
妖精さんのお手紙を読んでいると、ぼくの頭の中に、浮かんでくるんです。
、妖精さんのお話してくれるお仕事の様子や、お料理のことや、周りの人とお話しているようすや、妖精さんにも見えない大きくてふかふかの尻尾や……そういうものが、頭の中に浮かんできました。

お手紙は文字だけなのに、ぼくはそれがほんとうにふしぎで……
それは、妖精さんの文章だったからなんだなっておもいます。


それで、今回もらったお手紙からはいちごの香りがして、ぼくはほんとうにびっくりしました。
妖精さんのお手紙でいろんな景色やようすが思い浮かぶだけじゃなくて、とうとうにおいまで思い浮かんでしまったのかしらとおもったのです。

でも、妖精さんからのお手紙を読むと、思い出を便箋にしみこませたと書いてあって、このいちごのにおいは本物なんだとわかったのです。

このいちごの香りは、ほんとうにいいにおいですね。
ぼくはいちごが好きなので、おそなえものにいちごがあると大喜びしてしまうのですけれど、本物のいちごと同じような、さわやかで、甘くて、すっきりした、いいにおいです。

お手紙って、においまで運ぶことができるんですね。
妖精さんにまたひとつ、すてきなことを教えてもらえました。

ぼくもお返しに、妖精さんに香りをおくろうと思ったのですけれど、送り方がわからなかったので……別のものをおくります。

お手紙と一緒に、種を送りました。
これは、チューリップの種です。妖精さんの国にもチューリップはありますか?

ふつう、チューリップは球根から育てるのですけど、僕は種も持っています。
なぜかというと、チューリップは種から育てると花が咲くまでに4年も5年もかかるんです。
人間さんはそれだと待ちきれないと思うのですが、ぼくは長生きなので、それを毎年のんびり待てるんです。

種から育てると、おなじチューリップの種でも違ったふんいきの花が咲いたりして、おもしろいんです。

妖精さんも長生きだと聞いたことがあります。
よかったら、のんびりチューリップを種から育ててみてください。

それで、いつか、また……また、お手紙が交換できるようになったら、そのときは、こんなチューリップが咲いたよって、おしえてください。

楽しみにしています。


はりこ


ついしん:どうか、お元気で!