Eno.14からのお手紙

オレが住むのは、人の想いがカタチになる街。
強く願えば、目に見えない感情はモノに宿る。

…… …… 



木の枝から落ちた瞬間、偶然近くに居た誰かが
何を願ったのかなんて覚えていない。

ただ、生まれて初めて耳に届いた声は、
知らないアーティストの路上ライブだった。
魂を丸ごとぶつけるような強い叫びに、尖った詩に、
一瞬で心を奪われた。

「(もしもいつか、
 オレもこんな風に歌を届けられたなら。)」



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人生の転機は、いつも思わぬ瞬間に訪れる。
あの魂の叫びと似たものを、
オレは心の何処かでオリネさんに感じていたのかもしれない。

綻び始めた白の世界を飛び出した先には、
きっと全く新しい景色が広がっている。

未知への胸の高鳴りと、
それに、ほんの少しの不安も入り混じるけれど。

二人でなら、昨日までと同じように、或いはそれ以上に。
幸せに笑い合っていられる気がした。

…… …… 


「……オリネさん。」



何よりも愛しい、彼女の腕の中で。
青年のカタチをした魂は、再び目を覚ます。