RECORD
Eno.160 カイ・トワイライトの記録
『お前はあまりにも世間を知らな過ぎるから、
地上へ行って様々なものを見てこい』
命令が下されたのは少し前のこと。
冥界。万物の終焉たる黄昏の主は、
息子のことがとても大切だ。
白い髪に赤い瞳、尖った耳。
骨の弓を背負った青年は、
はいと素直に答えた。



棺を背負った影ひとつ。
光のない青紫が、黄昏の主を見ていた。


斯くしてふたりは、旅立った。
冥界より、地上へと。
◇



意図が分からず、カイは首を傾げた。
自分よりも背の低い友人を見ている。



つまりは、と首を捻っている。

そういうことだと、ネヴィーレンが頷いた。





ネヴィーレンが棺に目を遣る。
其処に秘められているモノを、
カイは知っている。


頷き、宙に手を伸ばす。
冥界と地上は本来、魂以外の存在の通行が出来ない。
されどカイは黄昏の主の、
ネヴィーレンは冥王の血を引く半神だ。
特別な生まれである、ふたりなら。
伸ばされた手の先、白く輝く扉が現れた。
ネヴィーレンがついて来てることなんて確認せず、
カイは自分の意思で扉を開き、先へ────
そして。



頼りになる相棒のネヴィーレンは、
はぐれたのか居ないみたいだ。
なら、世間知らずでも、ひとりで頑張るしかない。
外の世界は、どんなものだろうか?
死神の冒険は、不思議な祭典は、
まだ始まったばかりだ。
【To be continued……】
【0.死神は地上へ足を進める】
『お前はあまりにも世間を知らな過ぎるから、
地上へ行って様々なものを見てこい』
命令が下されたのは少し前のこと。
冥界。万物の終焉たる黄昏の主は、
息子のことがとても大切だ。
白い髪に赤い瞳、尖った耳。
骨の弓を背負った青年は、
はいと素直に答えた。

「……父上の命じるままに」

「しかし、お前だけでは不安だ。
……ネヴィーレン」

「…………はい」
棺を背負った影ひとつ。
光のない青紫が、黄昏の主を見ていた。

「お前ならば地上に詳しいだろう。
カイについてやってくれ」

「……仰せの通りに」
斯くしてふたりは、旅立った。
冥界より、地上へと。
◇

「…………カイ」

「先に言っておくんだが……。
一度見聞きしたことだけを、
物事の全てだと思うなよ」

「……どういうことだ?」
意図が分からず、カイは首を傾げた。
自分よりも背の低い友人を見ている。

「……物事には様々な面がある。
ある人にとっての正義は、
別の人から見たら悪かも知れない」

「君にとって分かりやすい例を挙げようか、カイ。
あのクソッタレの冥王は、
世間から見たらどのような扱いだ?」

「…………」
「公正にして厳格なる冥界の王だ。
ネヴィーレンの話を聞いていると、
実態は違うようだが」
つまりは、と首を捻っている。

「そのような事例もあるから、
ひとつのことを信じ過ぎるなと?
様々な面で物事を見よと、
ネヴィーレンは言いたいのか」
そういうことだと、ネヴィーレンが頷いた。

「地上は様々な善意と悪意に満ちている。
冥界みたいに穏やかではない。
目先の情報だけに惑わされるなよ。
様々な情報を並べて、自分の頭で考えろ」

「……言いたいのはそれだけだ」

「…………」

「……ネヴィーレンは、本当に、
様々な経験をしてきたんだな」

「…………さぁね」
ネヴィーレンが棺に目を遣る。
其処に秘められているモノを、
カイは知っている。

「……さて、そろそろ出掛けようか。
扉はカイが開けるな?
地上に着いたら僕は口を出すのを控えるから、
君の頭で色々を考えることだね」

「…………善処する」
頷き、宙に手を伸ばす。
冥界と地上は本来、魂以外の存在の通行が出来ない。
されどカイは黄昏の主の、
ネヴィーレンは冥王の血を引く半神だ。
特別な生まれである、ふたりなら。
伸ばされた手の先、白く輝く扉が現れた。
ネヴィーレンがついて来てることなんて確認せず、
カイは自分の意思で扉を開き、先へ────
そして。

「フェストリア……
フェイ…………」

「お祭り??」

「とりあえずボスを殴れば良いのか???」
頼りになる相棒のネヴィーレンは、
はぐれたのか居ないみたいだ。
なら、世間知らずでも、ひとりで頑張るしかない。
外の世界は、どんなものだろうか?
死神の冒険は、不思議な祭典は、
まだ始まったばかりだ。
【To be continued……】