RECORD

Eno.14 七里の記録

特別な日

ほんとうはこんな姿じゃないから、
じゃあどんな姿だったかなって、思い出そうとした。
たぶん髪は黒かったし、もっと元気がない感じだった。
だから、いまの姿のほうが好き。
こんな風に、元気なほうがいいって思ってたから。


ここではケーキやお寿司を食べてもいいみたい。
特別な日じゃなくても。

俺の誕生日と、クリスマスには、
おとうさんとおかあさんが許可をとって、
ケーキやお寿司を持って会いにきてくれた。
おとうさんとおかあさんはそこでは食べないから、
俺だけひとりで食べて、でも全部食べられなくて、
持ってきてくれたのにごめんねって、
いつも言ってたことは覚えてる。
おとうさんとおかあさんの顔は、もうわからなくなっちゃった。
会いに来てくれたことも、そのうち忘れちゃうんだろう。


ここでは好きなだけ食べられるし、
だれかと一緒に食べるのもできるから、うれしい。
ともだちができたから、それもうれしい。

うれしかったことを、できるだけ長く、
覚えていられたらいいなって思う。