RECORD

Eno.5 ヘルツの記録

原点

~とあるハロウィンの日~

「ヘルツくん、お菓子は何をもらえたの?」

「先生。ウェハースに、ブラッドベリーのロリポップ……
 あ、見たことのないお菓子もあるよ。外国のものかな」

「大陸中にダンジョンが湧いてから、
 色んな国の人が来るようになったらしいものね」

「今日見たサムライも仮装じゃなくて本物だったのかな」

「ふふ、そうだといいわね。
 さあ、お祭りの日とはいえ、もういい子は寝る時間よ」

「ええ~、もう少し先生とお話していたいよ」

「ダメよ。毎日言っているでしょう。
 規則正しい生活こそが……」



「美しい筋肉と健全な精神を育むッッ」

「そう!!! ここはモストマスキュラー孤児院!!!!
 いたいけな子供たちを守れるのは筋肉という抑止力のみ!!」



***

先生
孤児院を物理的に守っている最強の筋肉女。

ヘルツ
ひな鳥の頃のかわいさには今も自信がある。

***

「ヘルツ!!! 私に守られるからには、
 君もここの掟に従わなければおしりペンペンだぞ!!!!」

「ヒッ!! ごめん先生!!!」

「言うことはきくよ。
 でもぼくだって……いつかは先生を守る側になりたいんだ。
 筋トレだって頑張ってるでしょ」

「気持ちは嬉しいわ。
 だけどね、この筋肉は常人には必要ないものなのよ。
 特にそんな幼いころからの筋トレはよくないわ」

「君は先生と筋肉ばかりかまっていないで、
 お友達を作ってたくさん遊ぶべきよ」

「そう言われたって……」

「いつかその価値もわかるようになるわ。
 さあ、いい子だから眠りなさい。
 それが将来の筋肉を育てるのだから」


・・・

「376 377 378……」

「腕立てをしていると昔のことを思い出す。
 それともこのカボチャがそうさせるのか」

「私が孤児院を引き継いで結構経つが……
 先生は今もお元気にされてるだろうか。
 結局告白してもキッパリ振られてしまったな。ぬはは」