RECORD

Eno.183 苧麻(ラミー)の記録

それは夢のような遠い約束



ここへ来て本当に色々なことがあった。

主様あるじさまから、どこか知らない異世界の遺跡の話を聞いたのはいつだったか。

本当にそんな世界へ渡ることになるとは、夢にも思っていなかった。

この世界は本当に楽しくて、いつかこの世界からまた皆がもとの世界へ帰ってゆくことになるのだと

出来れば考えたくはなかった。


それは

叶わない夢なのだと思っていた。


……


彼女と話をした。
いや、正確には、彼女の方から話をされた。
それは、僕がずっと目を背けていた話で
でも、いつか口にしないといけない、と思っていた。



主様あるじさまから届いた、ハーデンベルギア運命の出会いの花。


私は君が好きだ僕は君が好きなんだ


本当は自分の気持ちはわかっていた。彼女がその言葉を紡ぎ、それを僕が耳にする、ずっと前から。

君が精霊でも妖精でもなく、人の子であっても
君がどこか別の世界から来ていたとしても
君が、僕のことを、友達…。一人の男性だと、認識していなかったとしても



こんなに、悩むものだとは知らなかった


だけど今
言わないともう言う機会は訪れない、と思った。
彼女は別の世界へ行ってしまうのだから。



君を、愛してしまったんだああ、君も、同じ気持ちを抱いていたんだ

君の声が、僕の声に重なって聞こえる。

これからも、ずっとそばに


僕にも幸せになってほしいと、彼女は言っていた。
僕はその時、嬉しいような悔しいような気持ちだった。

僕が君に祝福を与えることが出来るなら。

君は僕に幸福をくれないか僕が欲しいのは君なんだ、と
貪欲にも僕は思ってしまったから。


本当に、君は


そんな幸福すらも、形にすることが出来る人だったんだ。


これから先もずっと、君に絶え間ない祝福が、その身に降り注ぐ君のことを愛し続けることを誓って。








ところで。
温泉で抱きつかれても表情を変えずに話すのは、さすがに僕にも無理だったよ。