RECORD
Eno.67 今枝 聖奈の記録
今枝聖奈は今なお駆ける
欠け。ここに飛び込むことで、世界がほどけるのを待たずとも元の世界に帰れることを知った。
挨拶は全員と済ませてるわけじゃない。そりゃ名残惜しい。でもシュラインで温泉に入るがてら引いたおみくじは大吉だった。だから今と決めた。
帰りに素材集めするエリをたまたま見つけたのは幸運だった。無駄になりかけた素材や製作物がこれで生きてくる。やり残しが二つ減った。
ただ最後にカロリー摂取ネタをかまされるとは思っておらず、即座に反応できなかったのは私の修行不足。あやつめ、やりおる。やり残しが一つ増えた。
さて、思い返せば一時は帰宅志願者がまばらにいた気がする欠けの前だが、この時間は私の他には誰もいない。
ペンを走らせる。自分を鼓舞してスタートを切るのは、短距離走での私のルーティン。この最高の鼓舞なら足はすくまない。
ハードル走よりも低いジャンプで飛び込む。……後ろからリドルさんの声がする。
お見送り、ありがとうございます。欠けの中から腕を高く伸ばしてみたが、応えられただろうか。
最後の最後にただでさえ多いやり残しがまた一つ増えた。今すぐ戻って「腕、見えた?」って聞きに行きたい。
しかし欠けの中の灰色の海は、泳ごうとしたところで空を切る。
欠けの入り口が遠ざかる。空気抵抗のないスカイダイビングに身を任せるのは心地いい。
「名残惜しいな……」
フェストリアで出会った人々の顔がよぎる。何度も確認したその感情をもう一度口に出しながら、私の体は灰色の海に溶けていく。
2024年11月26日。
私はスクランブル交差点で信号を待っていたようだ。
圏外だったスマホに懐かしき三本線。案の定、通知はヤバいことになっている。
フェストリアでは一度も切らなかったスマホの電源を切り、まっすぐに駆け出す。今から私が行くべきはあそこだ。
……この直感は絶対に外れない、すぐに私は彼に会える。
だって今日の私は大吉だから、一番聞いてほしい話はきっと最短距離で伝えられる。
挨拶は全員と済ませてるわけじゃない。そりゃ名残惜しい。でもシュラインで温泉に入るがてら引いたおみくじは大吉だった。だから今と決めた。
帰りに素材集めするエリをたまたま見つけたのは幸運だった。無駄になりかけた素材や製作物がこれで生きてくる。やり残しが二つ減った。
ただ最後にカロリー摂取ネタをかまされるとは思っておらず、即座に反応できなかったのは私の修行不足。あやつめ、やりおる。やり残しが一つ増えた。
さて、思い返せば一時は帰宅志願者がまばらにいた気がする欠けの前だが、この時間は私の他には誰もいない。
ペンを走らせる。自分を鼓舞してスタートを切るのは、短距離走での私のルーティン。この最高の鼓舞なら足はすくまない。
ハードル走よりも低いジャンプで飛び込む。……後ろからリドルさんの声がする。
お見送り、ありがとうございます。欠けの中から腕を高く伸ばしてみたが、応えられただろうか。
最後の最後にただでさえ多いやり残しがまた一つ増えた。今すぐ戻って「腕、見えた?」って聞きに行きたい。
しかし欠けの中の灰色の海は、泳ごうとしたところで空を切る。
欠けの入り口が遠ざかる。空気抵抗のないスカイダイビングに身を任せるのは心地いい。
「名残惜しいな……」
フェストリアで出会った人々の顔がよぎる。何度も確認したその感情をもう一度口に出しながら、私の体は灰色の海に溶けていく。
2024年11月26日。
私はスクランブル交差点で信号を待っていたようだ。
圏外だったスマホに懐かしき三本線。案の定、通知はヤバいことになっている。
フェストリアでは一度も切らなかったスマホの電源を切り、まっすぐに駆け出す。今から私が行くべきはあそこだ。
……この直感は絶対に外れない、すぐに私は彼に会える。
だって今日の私は大吉だから、一番聞いてほしい話はきっと最短距離で伝えられる。