RECORD

Eno.44 翠天使エメラルの記録

とある御伽噺

―――むかしむかし、あるところに、小さな国がありました。
その国では精霊信仰が盛んで、自然界のあらゆる物に精霊が宿ると信じられていました。


ある時、その国に暮らす子供が母親に問いました。
『こんな道ばたの石っころにも、精霊さまは宿っているの?』

母親は答えます。
『ええ、そうよ。たとえ小さな石ころでも、そこには精霊が宿っているの。
 だから石ころを蹴飛ばしたり、人や動物に向かって投げたりしちゃ駄目よ』


さらに子供は問いかけます。
『大事に大事にしたら、わたしも精霊さまに会えるかなあ?』

母親は笑いました。
『ふふっ……そうね。
 もし会えるだとしたら、どんな姿をしてると思う?』


子供は目を輝かせながら答えます。
『きらきらしてて、きれいな天使さまみたいなのがいい!』

母親は微笑みながら頷いて。
『いい子にしていれば、きっと会えるわよ。
 さ、早く帰ってお夕飯にしましょう』


そうして親子は手を繋ぎ、家へと帰っていきました。
この国ではありふれた光景。
誰もが精霊を信じ、精霊と共に在る生活を続けたことで、やがて信仰は実を結び―――

小さな石ころは、天使になったのでした。