RECORD

Eno.15 アルバ・クリミナーレの記録

血が足りない

血が足りない。
思えばこの世界に足を踏み入れてから、純粋な血液というものを口にしていない。

血を吸わずとも生きていける体とはいえ、
本能的な『飢え』に抗えるほどの人間味・・・は残っていないのだ。

とはいえ、誰かの寝込みを襲うなどもってのほか。
市販の生肉では物足りないし、魚から血を得ようにも釣りができるようなスペースもない。
——そう、この世界は生き血を得る手段に乏しかった。

「こうなったら、アレをやるしかないのかな。
 気は進まないけど……」


未来都市を煌々と照らす眩いネオンから逃れた先の裏路地で、
真っ暗なショーウィンドウと向かい合った青年は、わざとらしい咳を一つ、二つ。

「あ、あー……ごほん。
 んんっ……」






「け、献血お願いしまぁす……」





「……うまくいく気がしない」