Eno.48 天原ユラギ

「一人部」部長

これは唐突に始まる俺の話だ。
つっても、来る前の話。
俺はなんか気がついたら、放課後に誰もいない教室で佇むようになっていた。
なんでそこに居座るようになったかも、今も居座り続けてるのかは知らない。
どうしてかを詳細に思い出そうとすると、靄がかかるんだ。
いつしか、周りからは、「一人部、と言う名前の部活がある、
部員が1人だけなのに、部として成立している妙な存在だ
」という内容の噂が広まっていた。

だが、どうにも俺の名前は流れて来ないし、俺に向けられる目線はごく普通の物だった。
噂の中には【一人】があるだけで、それが俺だとは認識されていなかったようだ。
俺がその、一人部部長だと認識したのはそれこそ10人程度、
それこそ、校内で俺が一人部部長だってしっかり突き止めたのは友人の葉山くらいだ。


少し、話は変わるとして。
幸村と言う名前の男が姿を消した、
とは言っても1週間程度だ。
発見されて、病室に立ち寄った時、彼は写真は無いか?と言った。
彼のカバンを確認すると、彼と、明らかに違う世界の者達が南国の島の所で和気藹々としている写真があった。
その時はあまり気にしなかった。

だが、幸村は海辺に行きたいと言った、俺と葉山は警戒してついて行った、が
幸村は足を滑らせ、それを見て気が動転した住田と言う名前の男は救助しようと自ら海に飛び込んだ。
そこからは1週間、行方は分からず、捜索し続けた。
そしてそれぞれ違う島に【遭難】している所を救助した。
その時の話を聞く限り、特殊な力を使えず、異なる世界の者達が揃って漂流する孤島がある。
と情報が揃った。

だが、情報があったとしても、俺には対策が出来なかった。
友人二人が巻き込まれたのなら、流れは俺か葉山、あるいは両方流される法則があってもおかしくない、そう分かっていた。