Eno.32 影鷹

遭難記録

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あのおんぼろ船を指定したのは黒狐だった筈だ。
任務ならばせめてもっといい船を、と訴えかけはした。
あの男、それを鼻で笑い

「そんなにいい船に乗りたいのでしたら、
 お父上に頼ってはいかがですかな?影鷹のお坊ちゃま」

等と抜かしたのだ。

挑発に乗った俺も俺ではあるが、
まさかおんぼろ船が遭難するなんて誰が思うか?

乗客はほぼいなかった筈なので、別口からだろう。
遭難者が他にもいた。
ひとまずは水の確保をと思いそのまま眠りにつくと、文明が変わっていた。

他の遭難者は皆協力的で、明るく、確実に職場より雰囲気がいい。
そもそも後ろ暗い事もする職場であるから、明るい雰囲気にはならぬのだが。

幸いにも救助船はすぐに来る環境にあった。
しかしながら、遭難して数人と協力するという状況。
この状況、あの犬と似ている。
冤罪で収監される直前、雪崩に巻き込まれこの様な所にいたのだという。

帰還したら犬の話を聞くのもいいだろう。


                     鷹司 楓

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