Eno.51 トリトマ

ほしのきろく

──綺麗だったな、おほしさま。

いろんな場所を食べて、飲み込んで、分かって吐き出して…

海って随分と貪欲なんだね。

深海の底を未だ人は知らずにいるのに。

さらに謎を増やしてくんだ。

あたしは、あたしたちはその波にちょっとだけ飲まれちゃったのね。


海中深く、深海何メートルか。

そこにある深青は海の宇宙。

そこにあるのは落っこちてきた星々で。

それらは地上を見つめてるのかな。

なんてね。


うん、綺麗なものを見たよ、あたし。

────


ご主人にも見せてあげたかったな。

夜に星を眺めたことがあったの。

作りたての新しい街の中で、バルコニーから空を見たんだ。

きら、ちか、きら。

空の星より、街の明かりが眩しかったかもな。

そしたら、隣町の方がよく見えるんだけどね、って。苦笑いしてた。


「雰囲気は鬱屈としているが、暗いからその分空が見える」

「それはまた美しいものだから」

「見に行こうな、今度」

これはあたしの記録だけれど。