これが泡沫の夢としても
『決戦兵器Legendia』────魔に対抗するため、人々が造り上げた兵器。
神話を模して造り上げられた8機のうちの、おれは04。"護る"為に造られた、海神を冠する守護の兵器。
だけど、おれには致命的なエラーがあった。どんなエラーだかは把握できてない。おれのきょうだいの06───『Yggdracil』と、02───『Siva』によって、機能の一部とともに隔離されてしまった。だから、わからない。
この島に来る前の記憶の一部は曖昧だ。漁師村に流れ着いて、そこで暮らして、なにかやらかして……そこまで共通しているのに、まるで数種類の辿り方を覚えているような、そんな。
守護の兵器としての活動は嫌いじゃない。戦争に駆り出されようとも、この矜持に背きたくない。
けど、時々……どこかから「全て逃げて、ゆっくり暮らしたい」なんて声が聞こえる。
だから、もしかしたら、これはどこかのおれが、それとも逃げたいおれが見ている夢なのかもしれない。
でも、焼き付けた星空は、彼の描いた絵は、打ち上がる花火は、強烈な嵐は、テーブルに並んだ食べ物たちは、その味は、全部確かにある。
これが夢、あるいは幻のものだなんて思わない。
だから、だから、だから……このことを忘れないように、メモリの底に焼き付けるんだ。
おれは機械だ。だからこそ、ずっと覚えていることが出来るんだ。
願わくば、星よ。
どうか、どうかこのささやかな願いを叶えてくれ。
おれは────俺は、それだけが願いなんだ。