Eno.51 トリトマ

取るに足らない話

ひとつうてば、ゆめのなか



ふたつうてば、ゆめのらくえん



みっつうてば、とおきまたゆめ



よっつうてば、そこはげんじつに。



いかがでしょう、いかがでしょう。



よいくすりは、いかがでしょう。



あなたのしあわせなゆめでくらせる。



よいくすりは、いかがでしょう。



あなたもここまでおいで。


ゆめのなかへとおいで。


ゆめのなかで、わたしたちとくらしませんか?



あなたのすてきなゆめを、おきているひとにみせることもできます。



※使用量にはお気をつけください。




ゆめゆめ、おわすれなきよう。






─耳にしたフレーズ。宣伝だ。


◇ ◇ ◇


11年目、ご主人も夢の街に行くことになった。

元々体があんまり強くなかったところ、加齢でさらに弱くなってしまったから。
あたしはお世話がかり。ツンツンしながらも、ご主人の世話を焼いていた。

私にもついてこいって言われたけど。

ヒューマロイドは、多分あっち側にはいけないって。

行けたとしても、この削れはなかったことになるみたいだ。

それは嫌ってごねてたのを見た。


もともと消費されるものなんだけどな。
削れて消費されるものだよ。
削れる前に中古屋に売られる娘もいるみたいだけど。

夢の街には、薄荷色の髪をした、両目の色が違い違いの少年が、世話役として支給されるように申請を出したらしいし、安心した。


だから。

ご主人。

元気でいてね、って。


銀色の針が刺さるとこを、ガラスの向こうから見てた。

今でも、眠るご主人を、ガラスの向こうから見ているよ。