取るに足らない話
ひとつうてば、ゆめのなか
ふたつうてば、ゆめのらくえん
みっつうてば、とおきまたゆめ
よっつうてば、そこはげんじつに。
いかがでしょう、いかがでしょう。
よいくすりは、いかがでしょう。
あなたのしあわせなゆめでくらせる。
よいくすりは、いかがでしょう。
あなたもここまでおいで。
ゆめのなかへとおいで。
ゆめのなかで、わたしたちとくらしませんか?
あなたのすてきなゆめを、おきているひとにみせることもできます。
※使用量にはお気をつけください。
ゆめゆめ、おわすれなきよう。
─耳にしたフレーズ。宣伝だ。
◇ ◇ ◇
11年目、ご主人も夢の街に行くことになった。
元々体があんまり強くなかったところ、加齢でさらに弱くなってしまったから。
あたしはお世話がかり。ツンツンしながらも、ご主人の世話を焼いていた。
私にもついてこいって言われたけど。
ヒューマロイドは、多分あっち側にはいけないって。
行けたとしても、この削れはなかったことになるみたいだ。
それは嫌ってごねてたのを見た。
もともと消費されるものなんだけどな。
削れて消費されるものだよ。
削れる前に中古屋に売られる娘もいるみたいだけど。
夢の街には、薄荷色の髪をした、両目の色が違い違いの少年が、世話役として支給されるように申請を出したらしいし、安心した。
だから。
ご主人。
元気でいてね、って。
銀色の針が刺さるとこを、ガラスの向こうから見てた。
今でも、眠るご主人を、ガラスの向こうから見ているよ。