くらんくあっぷ、
夢の街に人はどんどんと吸い込まれていってたから。
だから、なんていうか。
ちゃんと、起きてる誰かと一緒に過ごす二日間ってすごく久しぶりだったな。
起きてる誰かってこんなに賑やかでイキイキしてたっけか。
脱出すること目指して駆け抜けていく人たち。
生命力に満ち満ちてたなあって、あたし見ててすごく楽しかった。
そう2日。
たったの2日、のはず。
濃密な時間だったな。
自分の手で、こんなにいろんなことできるなんて知らなかった。
あたしは料理と、洗濯と、その他もろもろができる家事のヒューマロイド。
うん、それが今はちょっと泥に塗れて、手の塗装がちょっと禿げてるの。
自然って楽しいね。
起きてる誰かって、みんな素敵だね。
ご主人、いろんなものを吸い込んだ海で、あたしは、あなたが見られなかったものをたくさん見たし、たくさん体験したよ。
きっとそれは、あなたが見たかったものなんだろうな。
──すっごく、きらきらだったよ。
◇ ◇ ◇
ここで一旦CMと言ったところ。
夢の街の成立において被検体番号xx(個人名 xxx・xxxxxx)ほど役に立ったものもないだろう。
そのため、彼の成果を称え、彼の見た目を摸し、またその善良で従順な精神を持つ召使役を、夢の街移住の際、希望者に与えることにした。
非検体番号xxは、夢の街が栄える限り、半永久的に、誰かに仕え続けるのだろう─
人であるなら。誰でも歓迎いたします。
私たちとどうか。
千代に八千代に。
夢見ていて。
【CM終わり】
◇ ◇ ◇
あたしは夢の街には行けなかったけど。
人間に近い体の作り。
人間に近い肌の温度。
電気も美味しいけれど、誰かと食事や飲み物を共有できる。
テンプレートはあるけれど、思考回路は回っているし、ものを考えて行動できる。
ここに存在している。
生活をしていた。
ここに存在していたよ、あたし。
起きた街はもはや眠っている。
夢見心地で眠っている。
起きてるあたしは踊っている。
こんなに楽しいって走り切った。
バッテリーは劣化してて。
体の部品ももうなくて。
修理してくれる人ももういない。
街は眠ってる。
街は、生きてた頃の影を壊していく。
機会はそれらを更地にしていく。
眠る人たちだけを残して。
後は──
秘密にしちゃおう。
明後日がくる。
明日が来る。
あたしは歌うように踊っていたよ。
「くらっぷくらっぷ」
「xxxxx」
「クランクアップ」
「xxxxx」
──なんてね。