Eno.15 トト・アズハル・イルファンの日記

トトの手記

 何ということだ、僕とセトは王命を放棄して別の島に辿り着いてしまった。

 誰が乗っている輸送船の内部から爆発音が聞こえ、船が沈むなど考えられるのだろう?セトが居たからよかったものを……全く宮殿に住まう人間どもはあまりにも愚かで同じ貴族であることが恥ずかしいくらいである。こう何度も命を狙われると心が麻痺していく。

 やつが僕を連れて流れ着いたのは、おそらく無人島……なのだろうか?日本国出身だという人間の姿もちらほら見られた。だが、少し、僕たちの知っているそれとは違うような、何とも言えぬ不思議な感覚がした。
 不安や非日常に鼓動を高鳴らせる島は、無人島と言うには少し騒がしく、それでいて宮殿よりも何だか息がしやすい。ここにいる人間たち(と言っても人の言葉を話す蟹やうさぎのようなものまでいる)は皆、特異的であり少し観察していたがなかなかに愉快だ。下町に暮らす民のことを思い出す。

 生きて本国へと戻り、この島で生活を漂流記として出版するのも面白いかもしれない。きっと僕たちが戻ったら奴らは気分が悪いだろうし。
そのために、僕には何ができるのだろうか?これ以上、日差しが強くなると体に悪い。蓄え続けた知能を皆のために使うのも良いかもしれない。

時間だけは、あまりある程にあるのだから。