Eno.326 彼波守の日記

波濤は応えず

流れ着いた先。
見知らぬ島。
見知らぬ海。

ああ、やはりこれは海であって私の知る海ではない。
だって、いまだに少しも操れもしないから。

それどころではなく水を出す魔術も、
幻術も、治癒術も、こっそりと試したけれど
どれも使えなかった。

さて……
状況としてはだいぶ絶望的だ。
しかしそれは私ひとりであれば、の話。

幸いにもこの島には私のほかに4人も流れついたひとがいる。

吸血鬼のルクスくん。
ここは彼の私有地らしい。
ちょっといろいろはぐらかされている気はするけれどね。

冒険者のゼイルくん。
天使に思うところがあるみたい。
私のほかにもいる見た目でわからない天使、少し気になるな。

人間のベルナールくん。
どうにもとても緊張しているみたいで事情はよくわからない。
かわいい猫の幽霊くんと一緒だ。

幽霊のノルンくん。
もとは人間なんだって。
幽霊っていうにはとても陽気でおどろいた。
いやいや、それは偏見なのかな。

ともあれ、個性的な私も含めた5人。
きっと力をあわせればなんとかなるさ。
杞憂ほどあるはずの力を奪うことがらもない。

きょうは、みんなおやすみ。