Eno.440 四条 千草の日記

寄る波誘ひて

寄る波寄らぬ波砂浜へ押し寄せる時のこと。
気分紛らわしに出た砂浜に足跡振り見て夕日に目を焼き、
波の音に委ねようと目を閉じたら
身体まるまる波に委ねられていたようだ。

「……」



同じ学び舎に通う者たちと一人の姉と共に向かった土地の光景は跡かたなく。
目覚めたときにはまず一番に正気を疑った。
夢のような祝宴会場へ赴き、それが夢でないことは幾度と体感したが、
今回ばかりはさすがに夢であれと、瞬時思った。過ぎった。が、

「……あ、」



見渡せば知る顔、耳を澄ませば聞き覚えのある声。
……かつてのお祝いの場での、友人たち。
まだ交わした約束の頃には、早すぎる、けど。

「……これも、幸運と運命によるものかな」



けど、これは夢だったらやだな、とも思った。
結んでいたはずの髪留めは失くしたため、急遽ピン留めで小さな三つ編みをまとめ。
いつもの賑やかな口調も、この島の間では少しだけお休み。
不意な偶然な必然な休暇を、謳歌しておこう。