Eno.595 回向の日記

███の█、██

それは、ある世界の神秘と信仰が完全に暴かれる前の話。


『わたし』が『俺』となる前の、とおいとおい、昔の話。

かつて、磯の香りも潮の流れも全く違う海へと迷い込んだ時の話。
同じような状況にあった遭難者そうなんちゅたちと、同じ屋根の下で一時を過ごした。

どうにか水を得て、いくつかの命を頂き、
いつしか大きな船を作り上げ、孤島を脱するまでは。


それは長らくの間、少し潜るのに時間のかかる記憶の底に置かれていて、
あんまりにも大事にしまいこまれていたものだから。

頭の中で像を結ぶのには、少しの時間がかかった。