ボトルメッセージ

かつての英雄様

この手紙が届かないことを願う。
もし届いてしまったら、貴方は何としても私を探そうとするでしょう。
勉強は出来るくせに人のことを知ろうとせず、心の機微にどこまでも無知で愛に飢え、嫌われていることを認めたくない貴方が、何故私なんぞに執着したのか分かりません。

結局飼い犬に手を噛まれたのが気にくわなかったのでしょう。
貴方は私を愛していたらしいが、何度でも言います。

貴方は私に依存していただけです。
貴方を肯定し、ときには叩き棒になってくれる都合のいい存在が欲しかっただけです。
他人に依存するのはやめなさい。

折角国という柵から解放されたのですから、しっかり自分の足で立って好きな人間を見つけて、いい家庭を築きなさい。

それが私からの最期の言葉です。

私は、この島に来て人間の優しさに触れました。
押し付けがましくない、木漏れ日のような優しさです。

誰も私を忌むことをしなかった。

私はこの思い出を糧に、贖罪の道を見据えて前を向いていきます。

貴方も私のような「過去」は、どうか忘れてください。

それでは、今度こそ本当に、さようなら。


ケリヨト