遭難者 ③
《8年前 9月の終わり 深夜》
電波塔にたどり着いた時には既に真夜中だった。
この子の身体を動かして、日没後に移動をする事は分かっていたので
事前準備はしていたが、流石に疲れはある。
地面が凹んでいる所から金網フェンスをくぐり抜けて、回収地点に投下されていた少量の物資を拾う。
(地球上に残しちゃいけないのは分かるけど、ほんと最低限ね……)
エネルギーを補給して、服を乾かして、迎えか来るまでの1日分の人避けを使う。
それでもう物資はほぼ空。
水筒のお茶を温め直す程度のエネルギーが残っていた程度だった。
=============================================
塔の雨風がしのげる場所で、温かいお茶を口にして一息つく。
(寝る前にちょっとやっとこうか……)
落ち着いた所で彼女の記憶の同調を深い所まで行う。
明日、このユマの身体を引き渡したらもう【わたし】の仕事ではないのだが、他にすることも無し。
=============================================
「私も水筒冷たいの入れてー。」
『山は寒いから、持っておくのは温かいのにしなさい。
冷たいのが欲しかったら分けてあげるから。』
「山でも動いたら暑いし」
『動けない時は寒いからね。そういう時の備えでもあるのよ。』
お茶の影響か、記憶の同調はここから始まった。
今日の未明か、それとももう日が変わって昨日の未明の記憶か。
────────────
────────────────────
────────────────────────────
その後も彼女の"温かい"記憶は続いた。
故郷があり、両親がいて、学校に行き、友達がいて、愛されていた。
この日の登山も楽しみにしていたようだ。
あと、帰ってから録画で見るつもりだったアヒルバトラーも。
今はこれくらいでいいか、と切り上げようとする際に
ふと目からこぼれる雫があった。
(修復の際に、涙腺内に残っていたか。)
【わたし】が流したものだとは、認めたくなかった。
電波塔にたどり着いた時には既に真夜中だった。
この子の身体を動かして、日没後に移動をする事は分かっていたので
事前準備はしていたが、流石に疲れはある。
地面が凹んでいる所から金網フェンスをくぐり抜けて、回収地点に投下されていた少量の物資を拾う。
(地球上に残しちゃいけないのは分かるけど、ほんと最低限ね……)
エネルギーを補給して、服を乾かして、迎えか来るまでの1日分の人避けを使う。
それでもう物資はほぼ空。
水筒のお茶を温め直す程度のエネルギーが残っていた程度だった。
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塔の雨風がしのげる場所で、温かいお茶を口にして一息つく。
(寝る前にちょっとやっとこうか……)
落ち着いた所で彼女の記憶の同調を深い所まで行う。
明日、このユマの身体を引き渡したらもう【わたし】の仕事ではないのだが、他にすることも無し。
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「私も水筒冷たいの入れてー。」
『山は寒いから、持っておくのは温かいのにしなさい。
冷たいのが欲しかったら分けてあげるから。』
「山でも動いたら暑いし」
『動けない時は寒いからね。そういう時の備えでもあるのよ。』
お茶の影響か、記憶の同調はここから始まった。
今日の未明か、それとももう日が変わって昨日の未明の記憶か。
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その後も彼女の"温かい"記憶は続いた。
故郷があり、両親がいて、学校に行き、友達がいて、愛されていた。
この日の登山も楽しみにしていたようだ。
あと、帰ってから録画で見るつもりだったアヒルバトラーも。
今はこれくらいでいいか、と切り上げようとする際に
ふと目からこぼれる雫があった。
(修復の際に、涙腺内に残っていたか。)
【わたし】が流したものだとは、認めたくなかった。