Eno.2 ユーニス・ベイカーの日記

いつもの事

魔術指導の合間の休憩時間

いつものように、うつらうつらと船を漕ぐ。
自分の席で頬杖ついて、周囲の会話が耳に入らぬように。
こうする事で大抵の【声】はシャットダウンできる。
……できるのだけど。

「…ハッ、流石パン屋のお嬢様は優雅だこと!
 俺達は休憩時間も惜しんで、こうして修練に勤しんでるっていうのによ!」

――はぁ、珍しく聞こえないと思ってたのに。

「ほんとほんと。ちょっと前回の成績が良かったからってね
 あれは俺もアイツも手を抜いてやってただけなのにさーあ?」

――もう少し、強くしたほうがよかったかしら。

「俺も勉強なんて止めて、パンでも焼いて居眠りしてみようかな?
 焼き加減のコツでも掴めば、炎のエレメント使いになれるかもな!!」

――いつも似たような事をつらつらと。芸が無い奴ばかり。

こうしてシャットダウンしきれずに、聞こえる声を無視している間に 休憩時間は終わりを迎え、次の授業を告げる鐘が鳴る。
教室に先生が入ってくれば、先程までの憎まれ口はどこへやら。

品行方正。規律正しい模範生徒の出来上がりだ。
最早日常の一部になっていて、心の中でつっこむ気も起きない。

高貴で由緒正しい貴族サマ達はどうしてこんな奴らばかりなのかしら。
どいつもこいつも生まれを振りかざして見下すばかり。

――あぁ、そう言えば一人だけ居たかしらね。
名家の生まれでありながら、それを驕ることもなく、平民だろうが分け隔てなく接してくれる友人白のエレメント使いが。