Eno.65 海老原 有一の日記

眩しい

「……」



『眩しい』、と思った。


昨日、何をしていたかはっきりと覚えていない。
『懸命に』生きているうちに時間の感覚も鈍くなって、
今が何年何月何日かも、考えたりしなくなっていた。

誰が何処にいるかも、
今どこかで『笑えて』いるのかも、
もう分からないことが多くなっていた。
それでも、『生きていたい』と思っていた。
生きるのは、やめたくなかった。


「……太陽?」




ある日突然。
久しぶりに見る、夏のような太陽の光が現れたら。
俺は、どんな顔をすればいいんだったか。

車の音、人の足音は聞こえない。
『海』の音がこんなにはっきり聞こえるのは、
10歳の夏以来。