深海から願った日
深い深い、海の底。
太陽の光も届かない、冷たい世界。
そこで、目を覚ました。
声は出ず
体は動かず
どこかにぽっかり穴が開いたような空虚感が己を支配していた
どうして己はここにいるのだろう。
成すことも、成したいことも、何もないのに。
願望が生き物を動かすというのなら、不思議と今の自分には何もない。
ああでも………そうだな………
もしも、もしも叶うなら。
怖がられない
愛されるような
そんな存在になりたい。
それは水底からの願い。
声にも出ない、祈りに合わせる手もない。
けれどもけれども、彼女が水底から光の世界へとやってこれたのは。
きっと少しだけ願いが叶ったから。