白のエレメント使い

「――次は同じ授業ですね、ユーニスさん」

「えぇ、そうね……白の授業、私苦手なのよね……」

「あはは…仕方ないですよ。ユーニスさんのエレメント適性は【赤】
対となる属性は中々扱えないですから」

「そう言うノアは、すんなりと対属性の魔法もそこそこ扱えてるみたいじゃない
流石は白のエレメント使い様ね」

「いえ、僕なんてまだまだですよ。使えると言っても、制御は上手くいってませんし
こんな事じゃ騎士団に名を連ねるなんて夢のまた夢です
もっともっと修練を積まないと……」

(…何言ってるのよ。家柄も関係してるとは言え、その年であれだけのエレメントを扱えるなんて
並の魔導士じゃ一生かかっても出来っこ無いって言われてるのに)

「……?ユーニスさん、どうかしましたか?」

「何でもないわ。ところで、最近やけに修練に熱が入ってるようだけど…
理由はこの前言ってた夢の話かしら?」

「も~ユーニスさんまで……
あれは夢なんかじゃありません!僕は本当に遭難したんですよっ!」

「信じろって方が無理があるでしょ……
先生も言ってたけど、修練に集中しすぎて、魔力切れで意識を失ってただけって話じゃない
……すぐに見つからなかったのは、腑に落ちないけれど」

「うぅ、確かに、先生方には誰一人として相手にして貰えませんでしたけど……
でも、僕は約束したんです。島で出会った皆さんに必ず会いに行くと」

「あの一週間は決して夢なんかじゃありません
あの時の出来事は大切な思い出ですし、島で出会えた皆さんは僕の大切な友人です!
ですから――」

「あーはいはい、分かったわよ。水を差して悪かったわね
ノアがそんな上手い冗談を言えると思えないし、一応は信じてあげるわ。それに……」
微かにだが、彼の発する魔力とは別に、異質な力を感知できる。
その力は、私達の世界で言う【黒】の力に近しいものだ。
それを感知できるようになったのはつい最近、ちょうど彼が遭難した話をし始めた頃と合致する。
たまたま私の感知応力が成長した事による偶然なのか、それとも……

「……あの、ユーニスさん?もしかして、いつもの魔法、解き忘れてます…?」

「――いえ、ちょっと考え事してただけよ
さ、そろそろ移動しなくちゃ。次の授業に遅れるわよ」

「あっ!ま、待ってくださいよユーニスさんっ!」
半ば強引に切り上げ、すたすたと移動する私のすぐ後を、小走りで付いてくる猫耳の少年。
魔力を持たずとも平和に暮らす人間、魔獣に近しい生物、天使や悪魔と呼ばれる存在。
おとぎ話でしか聞いたこともないような存在。全く興味がないと言えば嘘になる。
本当に暇な時にでも、彼の話に耳を傾けてみるのも良いかも知れないわね。