Eno.326 彼波守の日記

朝露も乾き、舌を巻く

いやあしかし……。
蒸し暑いなと思っていたけど
ここまでの酷暑になるのは予想外だった。
天候がいやに不安定だね、この島は。
位置的に南国あたりなのか……。

ううん、正直私の世界の常識で考えてもどうしようもなさそうだ。
この疑問はひとまず置いておこう。
重要なのは、いつどのように天候が崩れるかわからないってこと。
いろいろな備えがこれまで以上に必要になる。

さてはて。
皆と拠点でいろいろ話して騒いだのはとても楽しかったけれど
どうにも気になる点がちらほら。
思い過ごしなら良いんだけれども。

ベルナールくんは、「眷属でない」ことはわかったと言っていた。
それでも疑うことは止められないとも。
それを聞いたルクスくんの表情からして
まあ……種族がらみの話なのかな。
面識は皆無いのだから、きっと違うところでなのだろうけれど。

ヴァンパイア。
ここに来るまで彼らに「魔族の一端」くらいの知識しかなくて。
「ロード」と呼ばれる存在がいることも、
変異種がいることも知らなかった。

考えてみればどちらも当たり前にありうることなのにね。
私たち天使にだって「変異個体」と呼ばれる子がいる。
天界にはきっちりと「最高指導者」たる熾天使石頭くんもいるわけで。
ともあれ、かつての同族天使たちからの魔族への嫌悪感情を見ていたら
ほかでもそういうことは起こりうるのかな、と。
もしくは、個人的な事情かもね。

ゼイルくんは昔の仲間がウサギ、だとか。
克服する!と頑張っていて本当に気丈な人だと思う。
仕方ないとはいえ野ウサギはこれからも罠にかかるだろうし……。
そのたびに心を痛めていないかは心配だな。
お酒が好きってことだったけれどこの島で醸造酒とかは作る時間もなさそうで
割と私たち全体でも「娯楽が雑談しかない」いまの状況はまずいかもなぁ。

そして。
なんとなく彼らの抱えているものや、苦手なものを知れたわけだけれど。

「底知れない」という言葉がある。
私とてさっき挙げた彼らの底が見れたなんて到底思っていない。
けれど……

底があるかすら不明瞭な気がしてくるのはノルンくんだけなんだよね。
あなたは、何者なんだい?