0:少女と夢と憧れと
ペリペティアのパパは、
立派な立派な冒険家で、
凄腕のアヒルバトラーだった。
深い青のアヒルを携えていた。
氷属性のその子の名前はソルベ。
いつか旅先でソルベと出会って、
それ以来、アヒルバトルを
嗜むようになったんだって。
パパは基本的に家にいなくて、
月に一度程度の頻度で戻ってきては、
様々なお土産と不思議な話を持って帰っていた。
ペリペティアは、そんなパパが大好きだった。
パパのお土産を見て話を聞いては、
夢と憧れが膨らんできて。

「ぼくね、パパみたいになるんだよ!」
語る自分を優しげに見ていたのを、忘れない。
パパは、ぼくの誇りだ!
──あの雨の日から、パパは帰らなくなった。
いつも定期的に戻ってきていたパパは、
とある日からずっとずっと、帰らないまま。
『これまでで一番のお土産を持って帰る』
パパの瞳に宿っていた冒険心。
帰ると言ったのだから、
ぼくはずっと待っている。
だけどもう5年も過ぎた。
ねぇ疲れちゃったよ。
ぼくはいつまで待ってれば良いの?
憧れも冒険心も消えないけれど。
疲れてきていたペリペティアがいた。
パパがいなくなってから、
ママは溜め息ばかりつくようになった。
貴方はぼくらの太陽だったのに。
でもそれでも、あの頃抱いていた
憧れは消えないから。
お土産眺めて、おとぎ話に胸躍らせて!

「──いつかはぼくも、パパみたいに」
◇
そんなある日のこと。
相棒のアヒル、アクアが手から転がり落ちて、
ペリペティアはそれを必死で追いかけて。
──気付いたら、目の前は崖。

──ぱしゃり。
海の向こうに落ちたなら、
海の向こうに国があるのなら、
そこにぼくの太陽が隠れていたりとか──ないかなぁ。
アクアと一緒に、崖下真っ逆さま。
目を覚ましたその先には、
青い海と白い砂浜が、広がっていた。