Eno.518 リリルカ・カラコルカの日記

深海のメヌエット

ありえないことだ。

この私が、
このリリルカ・ラルカ・カラコルカが。

こんな雨の日に、従者も護衛も付けず、
あまつさえ傘も防水具もなく、
伐採などという下級労働に勤しんでいる!

(ああ、今どきは森林作業員も魔法を用いるんでしたっけ?)


そんなことは知らなかった。興味がないから。
いずれにせよ、こんな前時代的な鉄の斧で
必死に木を切り倒すようなことはしていないのだろう。


木を一本切り倒しては、切り株に腰を下ろして休む。
お召し物が汚れてしまう。いいえ、もう関係ありませんわ。
とっくにびしょ濡れで、どろどろで、もう何も変わりませんもの。


なんてみずぼらしい。
なんて浅ましい。
なんて汚らわしい!


けれど。
全身を満たす疲労感も、
適度に切らした自分の呼吸音も、
汗と蒸気する肌を一緒くたに洗い流そうとする雨も、
どれも、今までに感じたことないモノをもたらしてくれる。


「ふふ」



さて、もうひと仕事。