Eno.91 シィリヤーレルの日記

【2 嫌いなもの】


 馬鹿が、嫌いだ。
 見ていて、苛々する。

 どうしてみんな、お人好しなの?
 どうしてみんな、自分を顧みないの?
 馬鹿なの? 馬鹿なんだろうな?

「……はぁーあ」


 思わず溜め息が漏れてしまうよ。

 馬鹿が、嫌いだ。
 僕は、馬鹿にはならない。
 僕は聡い子だ、そうだろう?
 聡い王様なんだ、そうだろう?

 賢く在れ、強く在れ。
 王というのはそういうものだ。
 だが、王は寛容で誠実でも在らねばならない。

 されど僕は嘘吐きで。
 この嘘は、墓場まで吐き通すから。

「……誠実になれぬのなら、せめて、賢く」


 お父様が望んだように、
 演じて、演じて、演じて。

 それが「僕」なんでしょう? ねぇ?
 僕は道化の──様!