Eno.378 白波の眷属の日記

ささやき 4

小屋に落ちている貝殻を耳に当てると、かすかに呟く声が聞こえる。

「ぼく、きょうは不調になっていて、
 嵐の備えのお手伝いがあまりできなかったんだけど……」



「やすんだらすっかり治って、いいかんじのサンドイッチもつくることができたよ。
 ウサギをくれたナミバタハッカと、カゴの材料をくれた鬼の子のおかげだねえ」



「ひとの子や、ひとじゃない子のよろこぶ顔って、みていたらほんとうにうれしくなる。
 ずっとみていられたら、きっとしあわせだろうねえ」



「嵐は風がつよくて、雨もこわいくらいふってて、雷もすごかったけど
 ふだんは森にいた子も来てくれて、みんなでじっとしていたから、ぜんぜんこわくなかった」



「たまーに、だれか嵐のなかにでていって、ボロボロでかえってきたけど……
 ぼくもいちど出たけど……
 まさか、あんなにすごい嵐のなかにでていくはずがないもの。きのせいってことにしておこう」