無題

「二人共働きすぎなの!
特にパパ!寄宿舎の生活だって全然苦労してないしあんなに沢山の仕送りとか必要ないの。
それに必要なものだってパパ全部送ってくるから、仕送りなんか全然使いみちがないんだから!」

学舎が夏休みに入り今の住まいであるこの家に帰省してきた娘のリリ。
そんなリリのお小言から始まった或日。
何故か用意されていたチケットに目を丸くして費用の出処は……と問おうとして
「使いみちのない貯まった仕送りよ!元々パパのお金なんだから自分のために使って!」
いやいやいやそれはお前のための金であってだな……
渋る俺、隣で何故か悟ったように静かに頷く薄情野郎。
いや待て俺の金ってことはコイツの分も俺が出してるって事になんのか!?
「とにかく。お休みよ!二人共、休暇!!!
夏休み中は家のことはちゃーんと私がしておくから、ほら!」
行って!と半ば追い出されるように。
しかもちゃんと荷物も用意されており……なんてこったよ。
行くしかねえのか。
コイツと?二人で?
バタン!と扉が閉まった後にガチャンと無情にも鍵を掛けられた。
ちくしょう……すっかり大きくなっちまって。
一人でなんて大丈夫か?変なやつとか家に入れたりしねーか?
オロつく俺の首根っこをアイツが引っ掴む。
そうして引きずられるようにして、突然の休暇は始まった――。