6.無題
俺たちが嵐を恐れているのだと。
人間ちゃんたちにはあんまり思われたくなくて。だって人間ちゃんたち みんな荒れる天気に慣れている感じだったから。ひとりだけ大騒ぎするのは恥ずかしくて。
足りない石材は 都度倉庫から拝借すればよいと思って こっそりちょっとずつ材料を集めていた。
けれど 本来肉を吹き飛ばすための不器用な掌で 粘土をこねていたら 想定していた何倍も時間がかかったので。このペースでは どうしても間に合わない。白魚のようなピチピチのお手手をした箱入りさんのトトにはこんな重労働 頼めるわけもなく。
なので 今までひとりでこっそりやっていた作業を有志の人間ちゃんにおねがいしてみた。これに踏み切るまでものすごく 渋ったが まあ。やってみれば思っていたより 気分の悪いものでもなかった。
とりあえず集めておいた材料を惜しげも無く倉庫に投げ込んで 恥を忍んで書き置き そういうのは全部お願いしてみたのだ。
るいちゃんが引き受けてくれた。
あの男は俺たちが粘土をもたもたとこねくり回していたくらいの時間でモルタルを作り レンガを完成させ 余っ程手際よく 迅速に建材を納品した。
非常に助かった。
その間にちょっぴり休み 壁材となる石を積む程度の余力は残したつもりだったが 建築が終わったのは 吹き荒れる風で木が軋み 土砂降りの雨が道を乱して ほとんど泥沼と近しくなった頃だったが。
それでも 確かに 間に合った。
石を組み込んできちんとした道を作りたいと言っていたのに石材 アホの量 拝借してしまったな……と多少申し訳なく思えど。俺たちは嵐の中 尾を床へ這わせて怯えていたので 今となってやっと悪いという気持ちがわいてきたくらいのものだ。
何事もなく雨足が収まり ひととき安堵する。
石材 この間に足しになるような数を集めてこようかとも思ったが 小さきものどもがめいめいひとかかえの石材を 一生懸命集めてきてくれたようです。皆 考えることは同じなのだねえ……
オーちゃんが空を見上げている。
嵐の過ぎた後の星空は ぽっかりと雲が消えていて そこから美しい夜空が見られた。敵国の兵器の性質上もあり 炎を愛し 闇を嫌う我々の国の中心部では 瞼を閉じてもまぶたの輝くほど 煌々と輝く ランプの光が夜通し夥しく灯されている。
煌びやかな色とりどりのガラスで作られたランプは 日常の一部に溶け込んではいるものの 眺めるには退屈しないほど美しく。また 星空のもたらす 静かですきとおった純朴な光を嗜むなどという 俗世から離れた楽しみを 宮殿で暮らす俺たちに一切想起させることも無かった。
闇も 星空も 本来美しいものだと。
俺たちは よく学びました。
人間ちゃんたちにはあんまり思われたくなくて。だって人間ちゃんたち みんな荒れる天気に慣れている感じだったから。ひとりだけ大騒ぎするのは恥ずかしくて。
足りない石材は 都度倉庫から拝借すればよいと思って こっそりちょっとずつ材料を集めていた。
けれど 本来肉を吹き飛ばすための不器用な掌で 粘土をこねていたら 想定していた何倍も時間がかかったので。このペースでは どうしても間に合わない。白魚のようなピチピチのお手手をした箱入りさんのトトにはこんな重労働 頼めるわけもなく。
なので 今までひとりでこっそりやっていた作業を有志の人間ちゃんにおねがいしてみた。これに踏み切るまでものすごく 渋ったが まあ。やってみれば思っていたより 気分の悪いものでもなかった。
とりあえず集めておいた材料を惜しげも無く倉庫に投げ込んで 恥を忍んで書き置き そういうのは全部お願いしてみたのだ。
るいちゃんが引き受けてくれた。
あの男は俺たちが粘土をもたもたとこねくり回していたくらいの時間でモルタルを作り レンガを完成させ 余っ程手際よく 迅速に建材を納品した。
非常に助かった。
その間にちょっぴり休み 壁材となる石を積む程度の余力は残したつもりだったが 建築が終わったのは 吹き荒れる風で木が軋み 土砂降りの雨が道を乱して ほとんど泥沼と近しくなった頃だったが。
それでも 確かに 間に合った。
石を組み込んできちんとした道を作りたいと言っていたのに石材 アホの量 拝借してしまったな……と多少申し訳なく思えど。俺たちは嵐の中 尾を床へ這わせて怯えていたので 今となってやっと悪いという気持ちがわいてきたくらいのものだ。
何事もなく雨足が収まり ひととき安堵する。
石材 この間に足しになるような数を集めてこようかとも思ったが 小さきものどもがめいめいひとかかえの石材を 一生懸命集めてきてくれたようです。皆 考えることは同じなのだねえ……
オーちゃんが空を見上げている。
嵐の過ぎた後の星空は ぽっかりと雲が消えていて そこから美しい夜空が見られた。敵国の兵器の性質上もあり 炎を愛し 闇を嫌う我々の国の中心部では 瞼を閉じてもまぶたの輝くほど 煌々と輝く ランプの光が夜通し夥しく灯されている。
煌びやかな色とりどりのガラスで作られたランプは 日常の一部に溶け込んではいるものの 眺めるには退屈しないほど美しく。また 星空のもたらす 静かですきとおった純朴な光を嗜むなどという 俗世から離れた楽しみを 宮殿で暮らす俺たちに一切想起させることも無かった。
闇も 星空も 本来美しいものだと。
俺たちは よく学びました。