Eno.15 トト・アズハル・イルファンの日記

トトの手記5

 というのは大変恐ろしいものであった。

 この島の人間は勇敢で献身的であり、それ自体は非常に良いことなのだが……少々行き過ぎた者もいるようだ。
 ごうごうと音を立てて吹きすさぶ風、じわじわと体温を奪っていく雨、時々ピカッと光る空。まさかこの悪天候の中、出かけていく者がいるなんて誰が思うか?
 こんなにもわかりやすく危険な外の世界へ飛び出していった生き物が一匹__あのうさぎは、僕の半分ほどもない体で資材調達に出掛けたらしい。
 なんて馬鹿な真似をするんだ。命が惜しくはないのか。そんな気持ちを抱きながら、焚き火の熱で濡れた体毛を乾かしながら休んでいるうさぎを見れば、後頭部に大きな傷が

 ここで暮らす人々は皆、何らかを我慢し、諦め、他の誰かのためにと耐えている。
 もし、もしも……あのうさぎが自身の手当を諦めて、その結果死んでしまうことがあったのなら……。

 そうなっては夢見が悪い。
 仕方がないから手当に使えそうなものを用意してやろうと倉庫の中を覗いてみると、そこには濡れた石と大きな丸太が押し込まれている。倉庫の扉にも小さく丸い濡れた跡が。あの小さな小さなうさぎがこれを?よろよろと資材をしまいこむ姿を想像してしまう。行動自体はあまり褒められたことではないが、今はその勇気を称え、労わるべきだろう。

 用意した包帯を渡してやると喜び、すぐ体に巻きつけていた。少しよれてはいるが、まあ、問題はないだろう。頑張りを認めているということを示してやりたくて、昔、セトにしてやったように額を撫でてやるとこれまた嬉しそうに笑っていて、ふわふわとした毛並みがなんだか可愛らしかった。

 ただ、嵐は恐ろしいだけではない。この島に新たな変化をもたらした。

 この続きは、目が覚めたら書くとしよう……僕はもう眠る必要がある。