2-8:寒さの中の自己話
刃物を研いで解体台用のナイフや斧を作って、革を鞣して時間はなくなった。
……。
僕とアイークは、長いこと一緒に世界渡りをしている。
動機は単純。ふたりとも目的が、出身世界では達成出来ないとわかったから。
僕はエルフと人間の共存ケースを知るために。
アイークは世界を追放された義理の父を捜すために。
僕の方は、正直、実入りはたっぷりあった。
けれど、それが僕たちの出身世界で適用出来るかどうかはまた別の話だということもわかった。
だからまだまだケース数が足りてない。
アイークの方は……当初の目的が達成出来ないってことが、わかってしまったようだ。
世界渡りの手法はいくつかあって、うち神や悪魔など上位存在が用いる「分霊型」の場合
目的を達成したり、世界を追放されたりしたその「分霊」は消滅してしまうからだ。
そしてアイツの義理の父は、分霊型で僕たちの世界にやってきていたから。
元となった存在を見つけることが出来ても、それはアイツの義理の父ではないんだ。
まぁ、あちこち世界を巡ってるうちに、当初の目的とは違う目的が出来ることは珍しくない。
アイークは今はそっちをメインに冒険を続けてる。
(その過程でなんか色々しでかしまくってるけど……いや何で子供4人も生んでるのさ?)
…………で、ここから先は、アイツには言えない。
アイツと一緒に旅していると、「まずこんなことは起こり得ないだろう」みたいな現象に出くわすことが、最近、時々起こるようになってきた。
「こんな娘だったらいいな」と想像したが生まれなかった娘を名乗る存在が現れた。
「生んでやるから来いよ」と思ったら本当に妊娠して本当にその通りの娘が生まれた。
しかもその娘は「生まれていなかったとき」のことを少しだけ覚えているときたもんだ。
いや、偶然か?
奇跡を起こす魔法、それも相当上位のものでも使わない限り、こんなことは起こらない。
僕だって奇跡を起こす魔法は下位のものしか使えないのに、アイツにそんなことは出来ない。
だから、何かが、おかしい。
そもそも、訪れた世界の伝承を真似したら本当に魂が切れて、自分の中に生まれた別人格を確固たるひとりの存在に成すことが出来たなんて、ありえるのか?
…………。
アイツは、今も、僕が知っているアイークという存在のままなのだろうか。
少なくとも……本人は、そう疑っていないようだけれど。
……。
僕とアイークは、長いこと一緒に世界渡りをしている。
動機は単純。ふたりとも目的が、出身世界では達成出来ないとわかったから。
僕はエルフと人間の共存ケースを知るために。
アイークは世界を追放された義理の父を捜すために。
僕の方は、正直、実入りはたっぷりあった。
けれど、それが僕たちの出身世界で適用出来るかどうかはまた別の話だということもわかった。
だからまだまだケース数が足りてない。
アイークの方は……当初の目的が達成出来ないってことが、わかってしまったようだ。
世界渡りの手法はいくつかあって、うち神や悪魔など上位存在が用いる「分霊型」の場合
目的を達成したり、世界を追放されたりしたその「分霊」は消滅してしまうからだ。
そしてアイツの義理の父は、分霊型で僕たちの世界にやってきていたから。
元となった存在を見つけることが出来ても、それはアイツの義理の父ではないんだ。
まぁ、あちこち世界を巡ってるうちに、当初の目的とは違う目的が出来ることは珍しくない。
アイークは今はそっちをメインに冒険を続けてる。
(その過程でなんか色々しでかしまくってるけど……いや何で子供4人も生んでるのさ?)
…………で、ここから先は、アイツには言えない。
アイツと一緒に旅していると、「まずこんなことは起こり得ないだろう」みたいな現象に出くわすことが、最近、時々起こるようになってきた。
「こんな娘だったらいいな」と想像したが生まれなかった娘を名乗る存在が現れた。
「生んでやるから来いよ」と思ったら本当に妊娠して本当にその通りの娘が生まれた。
しかもその娘は「生まれていなかったとき」のことを少しだけ覚えているときたもんだ。
いや、偶然か?
奇跡を起こす魔法、それも相当上位のものでも使わない限り、こんなことは起こらない。
僕だって奇跡を起こす魔法は下位のものしか使えないのに、アイツにそんなことは出来ない。
だから、何かが、おかしい。
そもそも、訪れた世界の伝承を真似したら本当に魂が切れて、自分の中に生まれた別人格を確固たるひとりの存在に成すことが出来たなんて、ありえるのか?
…………。
アイツは、今も、僕が知っているアイークという存在のままなのだろうか。
少なくとも……本人は、そう疑っていないようだけれど。