Eno.937 吟遊詩人の日記

水底の夢

 
夢を見た、気がする。
二人のエルフが歌いながら、海の上を渡っている夢。


一人は、ちょうどボクと同じような色の髪を持つ少女。

もう一人は、瞳を閉じていて、ボクと同じような髪型をした青年。


青年の方が年長なのか、
少女の方が青年に懐いているのか、
とても仲睦まじそうに、手を繋いで歩いている。

その姿は、兄妹のようにも、親子のようにも見えた。
……実際のところは、わからないけれど。




それでもその光景を見ていると、すごく懐かしいような、愛おしいような気持ちになる。
まるで、そのような経験が自分にもあったような…。
何故だか、そんな感情を抱いてしまうのだ。


冷たい水底でも、固く凍った氷塊でも、
たちまちに変えてしまえるような……、
そんな、ずっと見ていたくなる程に “あたたかい夢”だった────。