トトの手記7
氷を口に含んだことがあるだろうか?
国の数だけの文化があり、食文化も異なるということは理解しているつもりだったが、僕は今日初めて人間が氷を食べる場面に出くわした。氷だぞ。あの氷を調理(と言っていいものなのか?)して食べている姿の衝撃たるや凄まじいものだった。あの削られた氷の量を見て、もしもあれほどの塊を見つけることができたら、自国の貧困層はしばらく暮らしていくのに困らないほどの財を得ることができるだろうと考えてしまう。この島の中には生のサメ肉や、明らかに食用ではない草類を喰らう猛者がいるので、冷静になってみれば、加工した水を食べていると認識すれば比較的まともな食事ではあったのだが。加工した水、というのも強引な認識だが。
島の人間と会話をしていると、時折、いかに自国の技術や文化が停滞しているのかがよくわかる。
彼は……日本国の人間だっただろうか?やはり資源や技術、環境に恵まれた国は羨ましいものがある。きっと僕をはじめとした特権階級(厳密にいうと今の僕は違うのだが)の人間の暮らしは、かの国では一般人にも劣るのかもしれない。酷く閉鎖的な国であったから、仕方がない。仕方がないのだが……今も昔も飢え苦しむ民が多く、この島にいる我々の方がずっと贅沢な暮らしをしているのが、なんだか心苦しい。
この島で僕が蓄えた知識は、島の外に持ち出した瞬間にきっと価値を失うのだろう。
面白おかしい漂流体験記にこそなれど、国の民のために活かすには至らない。氷を気候に問わずいとも簡単に生み出す石も、島の特異性が生んだものなのだから自国ではただ少しひんやりとする石に変わり果てるのだろう。何と、何と哀しいことだろう。これがあれば、我が国、彼の国がより良い国となるのに……。
まあ、ないものねだりをしていても仕方がない、国へ戻った時はまた別の方法を考えればいいのだ。僕はずっとそうしてきたのだから。もしかすると、何か活かせるちしきだってあるかもしれないのだし。知識は決して裏切らない。
まったく、僕はこの島に来てから泣き声ばかりだな。
結局、あの石によって生み出される氷は、自国でも馴染みのある食材の保管のための氷室の建造に使うらしい。贅沢な食事として氷を食べる者もいるだろうが、これから少しずつ慣れていこう。
また一つ、島の文明が発達していく。いつかこの島が発展しきった時、自国の環境よりも恵まれたものになるのでは?と少し危機感を覚えている。なんとも複雑だ。だってこの島は近日中に、泡沫のように消えてしまうのだから……セトの調子が戻ったら沈んだ島を引き上げさせ、丸ごと国へ持ち帰れないものだろうか?これは冗談である。
ー追記ー
そういえば、すっかり書き記すことを忘れていたが、新たに大きな風呂が建造された。
僕は、セトに無理矢理引きずりこまれた、最悪だ。僕はまだ汚れていない。まあ、でも、少しほっとしたことはここに内緒で書き記しておこう。
それから、この建造によって島の名がネオ・タバコ島に変わった。こんなに滅茶苦茶な環境にいるというのに氷一つで騒いでいる僕はまだまだこの生活に順応しきれていないのだろうな。
国の数だけの文化があり、食文化も異なるということは理解しているつもりだったが、僕は今日初めて人間が氷を食べる場面に出くわした。氷だぞ。あの氷を調理(と言っていいものなのか?)して食べている姿の衝撃たるや凄まじいものだった。あの削られた氷の量を見て、もしもあれほどの塊を見つけることができたら、自国の貧困層はしばらく暮らしていくのに困らないほどの財を得ることができるだろうと考えてしまう。この島の中には生のサメ肉や、明らかに食用ではない草類を喰らう猛者がいるので、冷静になってみれば、加工した水を食べていると認識すれば比較的まともな食事ではあったのだが。加工した水、というのも強引な認識だが。
島の人間と会話をしていると、時折、いかに自国の技術や文化が停滞しているのかがよくわかる。
彼は……日本国の人間だっただろうか?やはり資源や技術、環境に恵まれた国は羨ましいものがある。きっと僕をはじめとした特権階級(厳密にいうと今の僕は違うのだが)の人間の暮らしは、かの国では一般人にも劣るのかもしれない。酷く閉鎖的な国であったから、仕方がない。仕方がないのだが……今も昔も飢え苦しむ民が多く、この島にいる我々の方がずっと贅沢な暮らしをしているのが、なんだか心苦しい。
この島で僕が蓄えた知識は、島の外に持ち出した瞬間にきっと価値を失うのだろう。
面白おかしい漂流体験記にこそなれど、国の民のために活かすには至らない。氷を気候に問わずいとも簡単に生み出す石も、島の特異性が生んだものなのだから自国ではただ少しひんやりとする石に変わり果てるのだろう。何と、何と哀しいことだろう。これがあれば、我が国、彼の国がより良い国となるのに……。
まあ、ないものねだりをしていても仕方がない、国へ戻った時はまた別の方法を考えればいいのだ。僕はずっとそうしてきたのだから。もしかすると、何か活かせるちしきだってあるかもしれないのだし。知識は決して裏切らない。
まったく、僕はこの島に来てから泣き声ばかりだな。
結局、あの石によって生み出される氷は、自国でも馴染みのある食材の保管のための氷室の建造に使うらしい。贅沢な食事として氷を食べる者もいるだろうが、これから少しずつ慣れていこう。
また一つ、島の文明が発達していく。いつかこの島が発展しきった時、自国の環境よりも恵まれたものになるのでは?と少し危機感を覚えている。なんとも複雑だ。だってこの島は近日中に、泡沫のように消えてしまうのだから……セトの調子が戻ったら沈んだ島を引き上げさせ、丸ごと国へ持ち帰れないものだろうか?これは冗談である。
ー追記ー
そういえば、すっかり書き記すことを忘れていたが、新たに大きな風呂が建造された。
僕は、セトに無理矢理引きずりこまれた、最悪だ。僕はまだ汚れていない。まあ、でも、少しほっとしたことはここに内緒で書き記しておこう。
それから、この建造によって島の名がネオ・タバコ島に変わった。こんなに滅茶苦茶な環境にいるというのに氷一つで騒いでいる僕はまだまだこの生活に順応しきれていないのだろうな。