Eno.716 仮の日記

泡沫:2



沈んだら間違えることはなく、そのまま、奥に潜っていくが常である。

こんなことは滅多にない。

こんなことは二度とない。







──青年は、水平線を眺めていた。
朝日がおはようと顔を出す頃には、夜漁に出た村の男たちが戻ってくるのが常だ。
その船がゆうっくり、やうっかりと、漕いで、姿を大きくしていくのを。傍目に。
その向こうの水平線を見て、太陽と目があって、思わず、目を瞑っていた。

焼かれるようなその場所だった。

「………」

青年は海へと飛び込む。
漁をする男たちとは異なって、彼は彼独自の仕事をしていた。
ビーチコーミング。
というには、海の中に飛び込むのだけど。

どこまでも深く潜っていける彼は、海底にある物を引き上げる。

そうやって、ロマンを、時折くる学者たちに渡した後。
金銭という現実を手にしているのだった。

青年はロマンに興味がない。
金銭という現実だけが、彼を潤していた。