9.無題
かき氷!俺たちもかき氷を作ったのだ。
人間ちゃん……特に日本人は 削り出した氷を 口にするという知識を得たので 俺たちもまねっこがしたくなったのだ。子どもたちにも与えてやりたい。
頂いた知識と るいちゃんの用意してくれた 氷を運び込み あの石を用いて 氷室を建てた。中はとても冷えている!外界との温度差が信じられないほどである!
人間ちゃんたちが 氷室の中で涼んでいる様子が沢山見られた♪
氷室のなかで 水の入った器を抱えて座っていると 俺たちの手の中で 氷の膜ができていく。そこから 少しずつ奥の方までが凍っていってとても とてもおもしろい。
ずっと見ていられる。
そうしてきらきらと美しく 透明な固形になったそれを外へ出して 少し溶かしてから取り出して がりがりと一生懸命に削り 器へ盛るのだ。それがかき氷。
様子見としてトトへ与えたつもりだったのだが 結局俺たちも食べてしまった。知識を求める者同士 未知に飛び込む時は 一蓮托生であるねえ。
どうやらこのかき氷 通は生でいくようなのだが 我々は氷を食べるのに慣れていないので ひとまず アレンジとして 果実から搾った汁を掛けてみた。
成程 これは冷たさと 食感を楽しむ食べもの。
口のなかへ含むと じんわりと溶けて 我々の舌の熱を奪う。けれど また自発熱により 暖かくなり また溶けるというのを繰り返すのだ。それがまた とてもおもしろいのだった!
氷を口に入れているから 俺たちの口腔も冷えていて 非常に冷えた水が 冷たさを失うことなく そのまま喉に落ちていくのだ。甘いのもいいのだが これがとても心地よい。大変良い経験になった。
食にクソうるさいトトも気に入ったらしい。そうであろう。
何もかかっていないところを ちょっとだけ 生 で 食べてみたのだが これもとてもいい。理屈を理解しても ちょっぴり 偏見が抜けなかったが 何事においても挑戦というのは大切である。かき氷は 食べやすく加工されたもののようだが 俺たちほどの通ともなれば 割り出した氷を 飴玉のように舐めちゃうのも 面白そうである。思い当たったら 是非やってみたくなってしまった。
所で。
日本では 雪が降るのを 俺たちは知っている。
知識としてではない。見たことがある。戦時中 冬頃 俺たちからそちらへ出向いた際 大地が一面白色だったことがあるため。だが それが小さな氷の集合体であるという意識はあまりなかったので 心底不気味にも映ったものだ。
雪のように白くてもこもことしたものを 氷とは認識できなかったためもあろう。俺たちにとって“氷”とは 水が冷え 透き通ったまま固形となった 非常に美しい 天然の宝石であるので。
あれは 畏れとでも 言うのだろうか。
かの白い農神と剣を交えた時 その白銀に輝く大地は 保護色に加えて あれの光に対する乱反射を起こし 対峙しているはずの農神をたびたび隠してしまったのを思い出す。
雪の積もった山は 徹尾かの白い神の味方をし 部外者の俺たちに対しては 徹底的に反抗したので 雪にはいい思い出がない。俺たちに 戦場を選ぶことの大切さを説いたのも その雪であるのだが。
俺たちは 氷のできる様子をしばらく眺めるとする。
これが美しいのだ。矢張り ずっと見ていられる。子どもたちも 俺たちの眼を通して この素晴らしい現象を見ているのだろう。
お前たちのためにも この島で過ごす間は 多くの面白いものを見て 楽しいことをするので。お前たちが 俺たちの中へ押し込められている今も 退屈しないようにするので。
お前たちが悲しまぬよう 俺たちは 頑張るので。
どうか 俺たちの身を 案ずることはないように。
人間ちゃん……特に日本人は 削り出した氷を 口にするという知識を得たので 俺たちもまねっこがしたくなったのだ。子どもたちにも与えてやりたい。
頂いた知識と るいちゃんの用意してくれた 氷を運び込み あの石を用いて 氷室を建てた。中はとても冷えている!外界との温度差が信じられないほどである!
人間ちゃんたちが 氷室の中で涼んでいる様子が沢山見られた♪
氷室のなかで 水の入った器を抱えて座っていると 俺たちの手の中で 氷の膜ができていく。そこから 少しずつ奥の方までが凍っていってとても とてもおもしろい。
ずっと見ていられる。
そうしてきらきらと美しく 透明な固形になったそれを外へ出して 少し溶かしてから取り出して がりがりと一生懸命に削り 器へ盛るのだ。それがかき氷。
様子見としてトトへ与えたつもりだったのだが 結局俺たちも食べてしまった。知識を求める者同士 未知に飛び込む時は 一蓮托生であるねえ。
どうやらこのかき氷 通は生でいくようなのだが 我々は氷を食べるのに慣れていないので ひとまず アレンジとして 果実から搾った汁を掛けてみた。
成程 これは冷たさと 食感を楽しむ食べもの。
口のなかへ含むと じんわりと溶けて 我々の舌の熱を奪う。けれど また自発熱により 暖かくなり また溶けるというのを繰り返すのだ。それがまた とてもおもしろいのだった!
氷を口に入れているから 俺たちの口腔も冷えていて 非常に冷えた水が 冷たさを失うことなく そのまま喉に落ちていくのだ。甘いのもいいのだが これがとても心地よい。大変良い経験になった。
食にクソうるさいトトも気に入ったらしい。そうであろう。
何もかかっていないところを ちょっとだけ 生 で 食べてみたのだが これもとてもいい。理屈を理解しても ちょっぴり 偏見が抜けなかったが 何事においても挑戦というのは大切である。かき氷は 食べやすく加工されたもののようだが 俺たちほどの通ともなれば 割り出した氷を 飴玉のように舐めちゃうのも 面白そうである。思い当たったら 是非やってみたくなってしまった。
所で。
日本では 雪が降るのを 俺たちは知っている。
知識としてではない。見たことがある。戦時中 冬頃 俺たちからそちらへ出向いた際 大地が一面白色だったことがあるため。だが それが小さな氷の集合体であるという意識はあまりなかったので 心底不気味にも映ったものだ。
雪のように白くてもこもことしたものを 氷とは認識できなかったためもあろう。俺たちにとって“氷”とは 水が冷え 透き通ったまま固形となった 非常に美しい 天然の宝石であるので。
あれは 畏れとでも 言うのだろうか。
かの白い農神と剣を交えた時 その白銀に輝く大地は 保護色に加えて あれの光に対する乱反射を起こし 対峙しているはずの農神をたびたび隠してしまったのを思い出す。
雪の積もった山は 徹尾かの白い神の味方をし 部外者の俺たちに対しては 徹底的に反抗したので 雪にはいい思い出がない。俺たちに 戦場を選ぶことの大切さを説いたのも その雪であるのだが。
俺たちは 氷のできる様子をしばらく眺めるとする。
これが美しいのだ。矢張り ずっと見ていられる。子どもたちも 俺たちの眼を通して この素晴らしい現象を見ているのだろう。
お前たちのためにも この島で過ごす間は 多くの面白いものを見て 楽しいことをするので。お前たちが 俺たちの中へ押し込められている今も 退屈しないようにするので。
お前たちが悲しまぬよう 俺たちは 頑張るので。
どうか 俺たちの身を 案ずることはないように。