Eno.525 宇宙遭難屋の日記

Prologue:宇宙の状況について



──なかなかあいつも帰ってこない。

ピザの星、ピサクリータ。
ピザを作ることを命じられているこの星では、当然、星の全員がピザを作る能力を身につけていた。
そこらじゅうに漂うトマトの香り。
香ばしく小麦が焼かれる香り。
星の外にシュートされるバイ・クーの音。

今日もピザの星は賑やかであり、繁栄を見せつけている。


──その中に、おかしなのがいた。

変な動きを取ったり、それはウケ狙いであったり、くだらないことであったり。
ちょっとでも笑いを取ろうと見せるのだから、鬱陶しい。
その割に本人は印象に残らず。
ただの配達員だった。

よくくる人だけども。
全く顔を覚えていない。



──満喫しているだけなら、いい。
本当にそれなら良くて、あいつは働き詰めだと店長は頭を抱えている。
とにかく休みを取らない。
ワーカホリックだって、もう少しティーブレイクを挟んでいたはずで。
しかし、あいつはブレなかった。



──ピザ屋。

店長は考えている。

あいつの楽しいは、なんなんだろうか。