Eno.65 海老原 有一の日記

嬉しい

『嬉しい』、と思った。

どうしてだろう。

久しぶりに見た太陽と海は、形を何度も変えて
襲いかかってくるのに。

焼けそうなくらい暑くもなるし、
吐く息が白いほど寒くもなるのに。

いつか、ヒーローを志した自分の力が、
今日生きるための肉を切る道具になっていても。

この島にいると、時々心臓が強く脈打っている気がする。


結局俺はどこにいても、誰かが『嬉しそう』なのが、
『好き』みたいだ。
最初に志したものも、絡まった糸をたどった最初のところに、
そういう気持ちがあるんじゃないかって、
今だけそう考えられる。

……今だけかもしれないけれど。
異能は心を守るために、随分と成長していたから。