Eno.16 戌ヶ迫 朔也の日記

きぼうの3ページ ~ 未開の離島と暁の兆し

潮が引いたら現れたのは、海水滴る秘密の洞穴。
見たことのない不思議な石と、磯辺に隠れた文明の利器。

「まさか、あんなところにタイヤが引っかかってるなんて思わなかったなー」


「そういえば、あったけー石とめっちゃぶるぶるしてる石も見つけたっけ。
 あれ、何に使うんだろ?」


嵐を越えたらやってきた、急な暑さを必死に耐えて。

「いきなり暑くなるんだもんなー……。
 暑いってゆーか、熱いの方が近かったかも」


「ちょっと外に出ただけで気持ち悪くなって、大変だったなー。
 レナードのにいちゃんの言う通り、水飲んだらよくなったけど……」


眠って起きたら知らぬ間に、浜辺に佇む夜明けの灯火ひかり

「灯台って遠くにあるやつしか見たことなかったけど、あんなにでっかかったんだなー!」


「にいちゃんが一人で建てたみてーだけど、一体どーやったんだろ……」


必死で木を切り、布など探し、みんなで集めた素材を束ね。
ようやく紡げた希望を胸に、新たな島への扉を開き。

「"うきさんばし"のおかげで、やっと向こう側の島に渡れたぜ!」


「あっちは変な木とか花がいっぱい生えてたなー。
 あー、それと、リリルカが食べてたあのキノコも……」


「……こっそりいっこだけ捨てずに取っといたけど、バレてねーよな?」


未知なる大地をいったりきたり、不意に聞こえた不思議の音色。

「そーいえば、向こうにいる時聞こえたあの音って、いったいなんだったんだろ」


「イザベラのねーちゃんが言うには、船の出す"きてき"って音らしーけど……」


「もしそれが本当なら、オレたちに気づいて助けにきてくれっかな……?」


もしかしたなら幽霊かもと。
怖いもあるけど、それより先に。

「……幽霊だったら、ちょっとかわいそーかも。
 この島、オレたち以外は誰もいないもんなー……」


「……スエキチたち神様とも仲良くなれたんだし、幽霊とも仲良くなれねーかな?」




「あ、レナードのにいちゃんには内緒にしとかねーとな!
 それと、リリルカとクーにも!
 なんか二人とも、そういうのはダメそーだしな」



まだ見ぬ不安と、大きな希望。重ねた二つに一つの秘密。
揃えた三つを心に抱いて、少年は今日も船を漕ぐ——。