Eno.105 火の四天王の日記

調査報告書:火炎生命体について


魔王軍 生物環境部門 生態調査班一同著

生態
火炎生命体はエゾデスにてごく稀に発見される魔法生物の一種である。
絶やすことなく高熱の炎をその身に纏い、物体に込められた魔力を糧に生きる。

自然界のマナから偶発的に生まれ、繁殖機能を持つ個体は確認されていない。
そのため雌雄といった概念は薄く、後天的に性別を模倣する事がある。
この性質は妖精や精霊などに近しく、彼らの亜種又は変異個体であると推測されている。

炎の魔力から生まれる性質上、極寒の地であるエゾデスでは出現率が非常に少なく、
踏み入った調査が難航している。
現在生存が確認されている個体は2体しかおらず、少し前まで生存していた個体たちは皆
──年前の大寒波によって消失が確認されている。
彼らにとってエゾデスは非常に過酷な環境である為か、寿命といったものを確認できていない。

魔族や人間に近しい見た目を持つ個体が多いものの、
手足や顔などのパーツが通常の生物と比べて『足りない』ことが多い。


考察
ここからは筆者の考察…というよりは推測になってしまうのだが、
彼ら火炎生命体は、魔族や人間の模倣をしているのではないか、と考えている。

彼らの様な妖精や精霊に近しい存在が、ここまで自我を確立させている例は極めて稀である。
本来、自然から発生した精霊たちは、自然そのものかのように気ままに振る舞う。
いわば、自然の意思そのものが反映された小規模な手足インターフェースに過ぎないはずだ。
しかしながら、火炎生命体を始めとした幾種類かの自然生命は、それぞれが感情や性別の自認を持って一人の人格を成している。

この現象は自然がヒトに憧れを抱き、模倣し始めた証なのではないのだろうか?
不完全ながら模倣された身体のパーツや、生殖しない為に不要なはずの性自認、
一人の生命体としての人格と言った要素はあまりにも自然からかけ離れたものである。

自然がヒトに憧れ、求め、追いすがろうとヒトの形を取った生き物。
それが本当であるとしたら、中途半端な彼らは何を思って生きるのだろうか。
彼らの行く末は───


"ボツ:著しく客観性に欠ける" と赤字で書かれており、以降は破られている。