Eno.606 聖涙竜の遺仔の日記

No,00_Prologue ~19年越し、2度目となる其れは

参考:前回シマの諸々→:/ https://wdrb.work/shima_v2/profile.php?eno=145 /:



ユーディット・ラーエル・ソフィエロード。
嘗て冤罪により没落した"ソフィエロード家"の末娘にして、実質最後の生き残りである。



全てを奪われ、喪った7歳頃。
奴隷商人によって遠方へ売られる途中、船の座礁を切欠にナガサレた彼女は、辿り着いた無人島で"掛け替え無き想い出"を得た。

大切な其れを胸に秘め、シマから生還した後は、嘗ての家を知る者達に保護されて。
孤児として、聖歌隊として――やがて、異端審問官として。
そうして、嘗ての記憶と心を忘れないまま、17年の時を過ごした。



或る時、単独で向かうよう指定された異端審問先にて。
家に濡衣を着せ滅ぼそうとした者達の卑劣な罠に嵌り、命尽きかけた処――彼女は"家の真相"を知る事となった。

聖涙竜ソフィア――銀の瞳を持つ竜、其れこそがソフィエロード家の、嘗て家が治めていた地の祖先始まりであった。
ソフィアは、魂だけの存在になって尚、現世に在り続け、最後の子孫となったユーディットの行方を探し続けていたのだ。

タヒにかけていたユーディットに憑依するカタチで、ソフィアは彼女を癒やし、立ち上がらせた。
そして、ユーディットは当初の通りに、異端審問を行い――異端の名目で、敵を討った。



其の後、ユーディットは異端審問官を自主辞任。
結果的に竜の眷属人間を辞める事となった為、信徒自体も辞そうとした。
が、恩師の提言を受け、一先ず一般信徒のまま、世界を巡る旅に出る事となったのだ。

其れが、今から凡そ2年前の事。



今、ユーディットは船に乗っている。
自身が信仰する宗派、其の派生である教えが強く根付く都市へ向かう定期船。
天候も良く、到着まで何も問題は無い。

筈、だったのだが――



突如、一際大きく揺れる船。

丁度、水平線を眺めていたユーディットは。
何事と思う間も無く、其れは其れは盛大に、一面のアオへと投げ出されて――




此れよりられるは、再会か、或いは。