Eno.610 アイークの日記

プロローグ:休暇代わり

ここのところ、混沌のダンジョンに潜りっぱなしだ。

あそこは元々、フィリアという世界の支配者システマーを決めるための舞台ーーいわゆるPOFの開催地だったらしい。
けれど、オレたちが足を踏み入れたときには、既にフィリア世界のシステマーは剣士rainに決定済。
オレたちはかつてのrainの仲間タナトノート……通称「メガネ」から
彼女が世界の支配者になるために仲間たちを裏切ったことと
彼女がダンジョンに囚われていたどこぞの国の王子たちをそのままにしたことを嫌ってほど聞かされ続ける羽目になっただけだった。

けれど、世界を支配する権利を失ってなお、それでもあのダンジョンには、冒険する価値があった。
だからオレは潜り続けた。
仲間に裏切られたタナトノートの記憶の嘆きに何度も苦しめられても。
何度落とし穴に落とされても。
強敵を倒した報酬が、地獄のような苦行ダンジョンへの入場料となるコイン数枚ぽっちであっても。
暗黒剣士として強くなればなるほど、かつて己がレンジャーだったことを忘れそうになっていっても。

まぁ、でもたまには息抜きも必要だよな。

相棒はジーランティス世界の謎を解き明かしたがっている。
オレもそれには興味があった。

だから、一緒にナガサレることにした。
なぁに、混沌のダンジョンは実は仮想宇宙アケローンに存在している。
異世界にいてもいつでもアクセス可能だ。
ジーランティスでサバイバルしながらだって潜れる。実に便利だ。

それに、また雨水飲みたいしな。